2020年代に入り、日本でもインフレが起き始めました。
しかし、このインフレは歓迎できるものではなく、人々の生活を苦しくする悪いインフレです。
好景気や経済成長に伴うインフレなら問題が無いのですが、原価(コスト)が原因で起こるインフレは何の恩恵もないのです。
インフレが起きている日本の状況

日本は自給率が低く、原料の多くを海外からの輸入に頼っています。
円高であれば海外から輸入する原料にかかる費用が安くで済みますが、円安になると輸入する原料にかかる費用が多くかかるようになります。
1ドル100円の場合と、1ドル150円の場合とでは、単純に考えて原料費が50%余計にかかるようになります。
これは、製造業に限ったことではありません。
農業、漁業など、全ての業界に影響してくるものなのです。
実際は世界的なインフレが起きていることなどのもっと複雑な要因が絡みますが、円安の原料高は商品の価格の上昇に確実に影響してくることになるのです。
その分だけ給料が増えれば何の問題もないのですが、原料高で値上げしたことによって利益が上がるわけではない。
そのため、給料はあまり増えず、物価高で苦しい生活を強いられるようになるのです。
これが2020年代のインフレによる日本の状況です。
コストプッシュ型インフレとは何か?

コストプッシュ型インフレとは、原料価格の高騰によるインフレのことです。
物価上昇によって景気が良くなるわけではないので、悪いインフレと呼ばれています。
物価が上昇するスピードに給料上昇が追い付かない状態となり、実質賃金の低下が起こることもあり、人々の暮らしは苦しくなります。
インフレにはもう一つデマンドプル型インフレというものがありますが、こちらは需要の高まりで物価が上昇するインフレであるため、このインフレが起こっても特に人々の生活に影響はありません。
企業の利益が増えて給料の上昇も伴うため、生活が苦しくなることがあまりありません。
実際に、2020年代の急激な物価高は人々の生活を苦しめていますが、戦後からバブル期くらいまでの物価の上昇は、人々の生活にさほど大きな影響は与えてきませんでした(オイルショックのようなイレギュラーな場合を除いて)。
コストプッシュ型インフレに話を戻します。
コストプッシュ型インフレが起こると、原料価格の高騰により物価が上昇するということを思い出してください。
2020年代のコストプッシュ型インフレが起きた原因は円安による影響が大きいです。
円の価値が暴落し、海外から原料を仕入れるコストが大きくなったため、利益を生むことが難しくなった製造業各社は原料高の高騰を理由に価格の値上げを何度か行い、2026年現在で2020年頃と比べて価格が1.5倍程度になったものも珍しくはありません。
あのサイゼリアですら値上げをしているのが今の時代です。
サイゼリアは人件費のコストを抑えるため、レジをセルフレジにしたり、配膳ロボットを使用するなどの工夫を行っていましたが、それでもコストの上昇に追い付けずにやむなく値上げしたと思われます。
シャウエッセンも「時代に負けてたまるか」とSNSで発信しておきながら時代に負けてシュリンクフレーションを行いました。
前日に前置きして、かっこいい言葉を並べて結局シュリンクフレーションを行ったことにSNSでは批判の声が出ました。
背景には原料高の高騰があると思われますが、素直に「原料高の高騰で値上げを行います」と発信していれば納得できていたことでしょう。
他にも便乗値上げと思われる値上げが見受けられますが、この点についてはこの記事の本題から外れるので触れないでおきます。
物価高を考えて給料を上げる企業も出ているが体力のない企業は給料を上げることが出来ていない
大手企業を中心に物価高のことを考えて給料を上げる動きが見られる企業は出て来ています。
しかし、今の経営でギリギリの薄氷を踏むような企業は「給料を上げたいけれど上げられない」のが現実であり、従業員になかなか還元されないのも事実です。
そのため、給料が物価高に応じて上がっている企業で勤めている人と、そうではない人との間で格差が広がってきています。
物価高が起きても今まで通りお金を払うことが出来る人、物価高により生活を極限まで切り詰める必要がある人とで2極化しているのです。
後者は財布の紐を固く締めている状態ですので、物をあまり買わないのです。
そうすると、全体での消費量が減り、企業の利益が減って景気が悪い方に傾いてしまうことになるのです。
だから、コストプッシュのインフレは悪いインフレと言うことが出来るのです。
今の年収400万円は、10年前のおおよそ年収350万円くらいに該当します(増税考慮なしでこの価格で、増税を考慮すると320万円くらいになると思います)。
だから年収が上がっても生活レベルが上げられない。
年収が現状維持であれば、生活レベルを落とさなければならないのです。
結果として生活が苦しくなってしまいます。
今は働く人が会社を選べる時代ですが、それが出来るのは一定以上のスキルを持った人のみなので、物価高の時代に我々が出来ることは日々精進してスキルを磨き、企業にとって喉から手が出るほど欲しい人材になることです。
何もしないでフリーターで生きていこうとしたり、スキルを磨かずに会社に居づらくなって退職してしまうと詰みますので、この状況だからこそ気を引き締めて目の前の仕事を誠実にこなし、人から信頼されるようになりましょう。
働くことは単純にお金を得ることではありません。
仕事をさぼったり、不誠実な仕事をしていたりすると、仕事にお金以外に大切なものがあることが分かりません。
目の前の仕事を誠実にこなし、吸収できるものは何でも吸収して、より高い給料を出してくれるところに転職できるように日々精進していくことが、物価高の時代に突入しても、変わらず重要であると思います。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。