叱ってばかりでは部下は育たない。叱るばかりだと部下との信頼関係を築くのが難しいからだ。

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叱ってばかりでは部下は育たない。叱るばかりだと部下との信頼関係を築くのが難しいからだ。

「何やってんだお前」、「そんなことも出来ないのか」・・・、ここまで行くとパワハラですが、部下の不出来を叱るだけが上司の仕事であるかのように、部下に対して叱ってばかりの人がいます。

しかし、そんな人の下で働く部下はかなりつらいでしょう。

今回は、部下を叱ってばかりではなぜ部下が育たないのか、どうしたらいいのかをお話しします。

叱ってばかりの上司の下で働く部下は自分が上司に認められないことを不満に持つ

叱ってばかりの上司の下で働く部下は自分が上司に認められないことを不満に持つ

まず最初に断っておきますが、部下を叱ること自体は特に問題がある行為ではありません。

部下の勤務態度が悪い、勝手な行動をしてしまうなどは、注意して態度を改めてもらう必要があります。

特に大きなミスをしてしまった場合、二度と同じことが起こらないように部下に注意する必要があります。

しかし、ここで気を付けておかないといけないのが、部下がミスをして落ち込んでいる、または反省している時です。

この時にきつく叱ってしまうと、失敗が許されないと部下が思ってしまい、部下を委縮させてしまったり、ミスを隠蔽して問題が大きくなってから発覚するなど、会社にとってマイナスとなりますので、きつく叱るのは態度が悪い、勝手な行動をするなどの結果で大きなミスにつながった時に限った方がいいでしょう。

部下が反省している、ミスをして落ち込んでいるときは、一緒に今後ミスが起こらないような改善方法を話し合い、「次はこうしようね」と優しく話す程度にしましょう。


部下にとって特にきついと思うのが、部下がいい仕事をした時に何も反応せず、ミスをした時だけ反応して叱るような部下のマネジメントをしている場合です。

このマネジメントは減点方式であり、100点を取るのが当たり前で、90点や80点を取る人が悪者であるかのような感じになってしまいます。

部下はいい成果を出した時に上司に評価してもらうことがモチベーションの向上につながります。

また、部下が叱られて落ち込んでいる時にフォローをしてもらうことで、上司の意図を適切に理解するようになります。

褒められもしない、フォローもないとなると、部下は上司を信じることが出来ません。

特にその上司が仕事が出来ない上司であると「なんでお前にそんなことを言われないといけないの?」と言いたくもなります。

褒められることなく叱られるだけ、叱られた後のフォローもない、そんな状態で働くことが出来るのはよほどメンタルが強い人だけで、そうではない人は「この上司は自分のことを理解してくれない」と感じ、上司と部下の信頼関係は築くことが出来ません。


転職が当たり前ではない昭和や平成前半までは褒めもしない、フォローもしないで勝手に部下が成長していく環境であったかもしれませんが、今は転職は当たり前。

信頼出来ない上司のもとで働くことになると、部下は転職を躊躇せずに考えます。

そして本当に転職してしまい、信頼出来ない上司の下に人がいなくなってしまうのです。

ただそれだけならまだいいのですが、部下が取引先に転職するなど上司と部下の立場が逆転した場合、元上司が元部下からどんな扱いを受けるか、下手をすると元上司が元部下から仕返しとも取れるような扱いを受ける羽目になってしまいます


叱っても問題ない上司と部下の人間関係を作るための対策方法を次章以降でお話しします。

対策1.部下と素面で語り合える人間関係を作る

まず、上司と部下の関係は人と人の人間関係であるということです。

つまり、一人の人間と一人の人間により作られる人間関係です。

部下は信用できない人から叱られる、特に重箱の隅を突くような叱り方をされると、その人に対して不信感を持ちます

人を信じないタイプの部下は特にそうであり、下手に叱るとさらに自分の殻に閉じこもり、上司を信用しなくなります。

そのため、叱っても大丈夫な人間関係の土台を作ることをまず目指さないといけません

人間関係の土台が出来れば、ある程度厳しく接しても部下は上司のことをそこそこ知っている状態なので、きちんと付いて来てくれるようになります。

ただし、人間関係の土台は信頼で出来ています

信頼というのは壊れるのは一瞬で、たった1回のミスで崩れ、長年かけて築き上げてきた人間関係も例外ではありません

部下と上司の人間関係も土台から崩れて全体が崩壊してしまうことになるため、また1から信頼関係を築いていかなければならなくなります。


部下と上司の人間関係を築くと言っても、飲みニケーションではだめです。

そもそも飲み会が嫌いな人にとっての飲み会の席はストレスを感じる場となりますし、アルコールが入らないとまともに話せないような人間関係は本当の人間関係であるとは言えません

オフィスで普段から部下に話しかけるようにし、時折私語を挟みながら部下と穏やかに話し合える。

そういう関係を作っておく必要があるのです。

そのためには、上司が受け身になるのではなく、上司から部下に話しかけることで人間関係を築くきっかけを作らなければいけません


「えぅ!? 逆じゃないの?」と思う人はおそらく考え方が古い人です。

確かに昭和や平成の前半の時期は部下が上司を立てるのが当たり前のような風習がありました。

部下が上司に気を遣って当たり前、上司は部下にとっては怖いものという考え方がありました。

しかし、今はこの考え方で部下に接してしまうと、どんどん部下の信頼を失い、部下が辞めていく原因となってしまいます。

上司と部下の人間関係を作る仕事は決して部下だけの仕事であるとは言えなくなったのです。

この考え方をきちんと持つようにしないと、部下が言うことを聞かないからと言ってきつく当たってしまい、パワハラやモラハラとなるようなことを部下に対して行い、部下は心理的に追い込まれていきます。

その結果、退職代行を使われたり、クラッシャー上司と部下から言われ、会社の口コミにマイナスの評価が書かれ、SNS上で部下が上司とのやり取りを投稿し、それが拡散されて会社にとって大きな問題となります。

こんなことが起きるわけないだろうと油断してはいけません。

実際に起こり得る話なのです。

そのため、上司の方が部下に対して気を遣わなければいけない時代が来て、きちんと信用できる上司であることを上司自ら部下に示さなければいけなくなったわけです。

対策2.部下の仕事がうまく言ったら必ず褒める。上司が手柄を横取りしない。

部下の仕事がうまく言ったら必ず褒める。上司が手柄を横取りしない。

部下の頑張りで仕事がうまく言った場合、必ず「私がうまく部下に接したのでうまくいきました」と言うのではなく、「部下が一所懸命頑張ってくれた結果うまくいきました。私は部下をサポートしただけで成果を出したのは部下です。」と言うようにしましょう。

また、部下に対して「よく頑張ってくれた」と直接話すのもいいでしょう。


ただ、残念なことにこれが出来ない上司は多く、「部下の手柄は自分の手柄。自分の失敗は部下の責任」というジャイアニズムを持っている上司も一定数います。

こういう上司のことを「残念な上司」と自分は呼んでいるのですが、こんな残念な上司の背中を見てこうなりたいという部下はいるでしょうか?

間違いなく「こんな上司になるくらいであれば、今の仕事を辞めて別の会社で働きたい」、「上司のチェンジをお願いしたい」と思う部下も多いのではないかと思います。

その結果、人が定着せずに人手不足になり、余計に上司が部下に対してきつく当たってしまい、更なる状況の悪化を招くことになります。

そのため、「自分の手柄」と言うのではなく、多くの部下や取引先の支えがあった上での成功であることを忘れないようにしましょう。

もちろん部下の査定をプラスすることも忘れずに。

対策3.今は昔と違うことを正しく理解する

昔の会社は年功序列が当たり前で、昇進のために部下が上司のごますりを行うことが多々ありました。

しかし、今は年功序列が崩壊し、実力のある人が上に行き、上司であっても優秀な部下からの指摘が来ることは珍しくありません。

つまり、昔のように自分が気に入らない人を叱って、特定の人をひいきすることは自分の評判を落とすことになります。

今は上司と部下は対等と考えた方が良く、上司と部下の違いは責任の重さの違いであり、どちらが偉いということは決してないことを理解しておいた方がいいでしょう。


「俺の昔はこうだった」などの過去の自慢語りは今の部下は聞きたくありません。

現在の上司の姿で部下はその上司が信頼できるかどうかを判断します。

なので、きちんと頼れる上司となれるように日々精進すること。

そしてその姿をきちんと部下に見せること。

見栄を張らず、弱いところも見せて、上司の人間らしい所をすべて見せること。

これを行っていれば、部下を叱った時もきちんと言うことを聞いてくれますし、逆に上司として足りない所は部下がきちんとサポートしてくれるようになります。

4.叱りっぱなしにせず、必ずフォローする

叱りっぱなしにせず、必ずフォローする

上司の中には部下を叱った後に何もフォローしない上司も多いです。

自分も実際にそんな上司を何度となく見てきました。

そういう上司に限ってパワハラやモラハラを行うため、部下に対してストレスを与える存在となってしまいます。

基本的に叱った時は何らかのフォローが必要だと思ってください。

叱りっぱなしは最悪なマネジメントです。

特にきつく叱られると部下はショックで食事がのどを通らなくなるくらいダメージを受けるかもしれません。

こんな時にフォローもせずに放置しておくと、上司に対しての部下の信頼は滝を下るかのように一気に落ちていきます。


昔の会社の上司は恫喝や手を出すこともあり厳しかったと聞きますが、何かしらのフォローがあったからこそ問題にならなかったのではないかと思います。

しかし、今まで自分が嫌だと思った上司は厳しくしても何のフォローもなく、部下を疲弊させる上司ばかりでした。

自分のことしか考えておらず、自分の気に入らないことを感情で叱ることしか考えていない上司もいました。

結果として部下が定着せず、次々と部下が辞めていったのですが、会社がお咎めなしとしたため、上司はその態度を改善することをしなかったわけです。

結果として自分もその上司に付いていけずに会社を辞めて転職することになりました。


いい人材がいないと会社が嘆いているのは、会社がいい人材を育てることが出来ずに即戦力の人材に頼りすぎているから、または生え抜きを育てるべきところを外注に頼っててしまっていることが原因ではないでしょうか?

つまり会社の怠慢によるツケが回ってきているから人手不足になっているのです。

きちんと人を育てるということに注目してこなかったこと、これが人手不足の原因の一つになっています。

人を育てるのも上司と部下の信頼関係が重要です。

上司と部下の信頼関係がうまく出来ていれば部下はきちんと育っていきます。

この時に重要なことが、叱った後はきちんとフォローし、部下が気持ちを整理して次に活かしやすくすることです。

反対に叱った後にフォローしない上司は部下に信頼されないため、部下がその上司から離れることを考える、つまり転職して会社からいなくなってしまうことになるわけです。

最後に

ここまでお話ししてきた4つの対策方法は自分から見れば当たり前であることだと思います。

おそらく同じように感じる方も多いでしょう。

しかし、当たり前のことを当たり前にすることは意外に難しく、どこかで手を抜いて部下からの信頼を失ってしまうことが多いです。

ですので、上司と部下とはどんな関係であるか、そのうえでどう接したらいいか、きちんと部下と向き合いながら考えることが必要な時代になったと思います。

古い考えの上司からは部下は離れていきますので、考えをアップデートすることから始めましょう。

今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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