「情けは人の為ならず」という言葉はよく意味を間違えられるのですが、そのまま読んで「他人に情けをかけてはいけない」と解釈してはいけません。
本来はもっといい意味の言葉で、「他の人のために何かをすると巡り巡って自分にもいいことがある」という意味があります。
なので、他人のために何かをしない言い訳として「情けは人の為ならず」という言葉を使うのではなく、他人のために何かをすることを目的として「情けは人の為ならず」を使うのが本当の使い方になります。
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「情けは人の為ならず」には「情け」という言葉が使われているが・・・
「情けは人の為ならず」の言葉には「情け」という言葉がつかわれているのですが、「情け」という言葉の意味を調べてみると、「他人に同情し、いたわる心」と出てきます。
しかし、「情けは人の為ならず」を実践するには他人に同情する心は必要ありません。
むしろ他人に同情して何かをすることは「何かをしてあげる」という下心的な気持ちが生まれやすく、他人に何かをする動機としてはあまり好ましくないものになります。
そのため、純粋に他人にギブする気持ちで、他人に対して何かをすることが重要だと思います。
恩を着せないため、自分が何かをすることに対して見返りがないからその場で何も返ってこなくても不機嫌になることがない。
そして、何かをしてもらった相手も純粋に感謝の気持ちを持つことが出来る。
恩を着せないということは他人が何かをしてもらったその場でお礼を受け取ることではなく、自分の心を豊かにするための1つの手段であると考えて行動が出来る。
そんな行動が積み重なることで、本当に自分の心が豊かになり、自分に巡り巡って自分が他人にしたことが返ってくるのです。
他人にしたことが返ってくるとはどういうことか?
他人にしたことは良いことであっても悪いことであっても自分に返ってくる。
自分はそう思っています。
他人を苦しめるようなことをすれば、その場では何ともないかもしれませんが時間が経ってから自分が苦しむ立場になって地獄を見ることになる。
特に自分がなくなる時に重い病気にかかり、苦しみながら最期を迎えることになる。
自分の地位や名誉が奪われ、ただの人になってからも後ろ指をさされ、他人の視線を気にしながら生活する苦しみを生涯味わうことになる。
このように、他人を苦しめることを普段からやっていると、自分の身にもいつかとても苦しいことがやってくる。
これが悪い意味で他人にしたことが返ってくる一つの例です。
逆に普段から他人のために働いて、他人を思いやる気持ちを持って人助けを行ったり、良いものを作るために一生懸命努力する。
普段から人のために働いて他人のために何かをすることが習慣になっていれば、最初は誰も見ていませんが、それを評価する人は後になって必ず現れます。
そして、その人から手助けをしてもらえたり、評価する人が上司であれば、評価を上げてもらえて昇格や昇給をしてもらうことがあるでしょう。
すると、お金も豊かになるし、心にも余裕が出来る。
ただし、ここでやってはいけないことが一つあります。
他人のために何かをして何かが返ってきたときに、その返ってきたことを当たり前と思って、見返りを目的のために他人のために何かをするようになること。
または、自分が豊かになったことで驕りの気持ちを持ち、他人のために何かをすることをやめる、または他人を見下すようになる。
こうなってしまうと、悪いことが自分に返ってくるようになってしまうため、お金と心を豊かにすることから遠ざかってしまいます。
なので、どんな立場になっても、その場で見返りを求めることを目的とせず、他人のために何かをして他人を幸せにする。
それが本当の意味で「情けは人の為ならず」を実行することであると思います。
他の人のために何かをすることは忘れるくらいがちょうどいい
他の人のために何かをする場合は、ある日こんなことをしたということを記録するようなことをしてはいけません。
また、こんなことをしたということを覚えようとしてもいけません。
何か下心があると他人に何かをしても「情けは人の為ならず」が成立しなくなるからです。
だから、他人に何かをしたことは忘れるくらいでちょうどいい。
自分が何かをした相手から感謝の気持ちを述べられた時も「そんなことあったかな? 幸せになれてよかったね」と返すくらいでちょうどいいのです。
他人に対して良いことをした経験は、忘れたほうがいい。
なぜなら、覚えておくと恩が返ってくるのを待つようになってしまうから。
そんな気持ちになると、巡り巡って自分にいいことが返ってくることがなくなってしまいます。
自然に他人のために何かをし、それが気付かれようが気付かれまいが、自然な態度でその人に接することが出来る。
これくらいの気持ちで他人と接することが重要です。
なお、自分が他人に対して良いことをして返ってくることは必ずしも目に見える形で現れるわけではありません。
自分の成長やより他人のために何かをしたいという気持ちが強まるなど、自分にとって気付きにくい形で現れることもあります。
商売が軌道に乗る、副業がうまくいくなど、目に見える形で現れることもありますが、だからと言って自分の性格や行動を変えてはいけません。
昔は良い人だったのにお金を持つと性格が変わってしまったと言われる人がいますが、そういう人になると、今の立場から転落する道を進んでいくことになるため、注意が必要です。
普段から他人のためになることを行い、その気持ちを維持したまま一生を過ごしていくのが理想の形です。
「情けは人の為ならず」を実践できている人は少ない
「情けは人の為ならず」を実践できている人はそれほど多くはありません。
時々お年寄りや妊婦さんや子連れの方に席を譲る方を見かけますが、そういう人は周りを見てもそこまで多くはありません。
多くの人は自分のため、自分の権利を守るため、そのために生きています。
この人たちに「情けは人の為ならず」の手本を見せ、下にいる人を導いていくのが国の上層部や会社の経営陣であるのですが、国の上層部は自分の立場を守るため、自分のためだけに行動してきたことによって下にいる人の給料が上がらず、物価は上がるという最悪の事態を作り出しました。
そして、見栄のために海外にお金をばらまいて国民にはお金が足りないから増税するというあってはならないことを行ってきました。
こんな人が国のトップだと、当然のことながら国の力は落ちますし、国民の質も悪くなります。
そして、会社の経営陣ですが、昔の会社は人を育てて社員を大切に面倒を見てきました。
それが日本の物づくり大国という立場を確立することとなり、日本は大きく成長を遂げることが出来たのです。
そのような経営者の言葉には重みがあり、今でも経営や自己啓発の本などで語り継がれています。
しかし、今の会社は利益だのコストだの、自分の会社のことだけを考えていて、社員のことを大切にしている会社はかなり少ないですね。
社員を大切にしないから最低限の人員で長時間労働を課したり、パワハラを行ったり、安月給で働かせたりする。
社員を大事にしないから、人を育てることよりも即戦力である中途の人材や派遣や外注に任せたりする。
こういう経営者のもとで働く人は無気力化するか、会社のやり方に反発を覚え、退職してしまう。
その結果、良い人が会社に残らなくなり、会社の力が低下して経営の数値にも影響してくる。
今、大企業と呼ばれている企業で創業者の言葉を守って経営が出来ている会社はどれだけあるか?
この答えが、いま日本が衰退しているという事態を表す原因です。
日本で大きなイノベーションや景気回復が起こらないのはそれなりの理由があります。
ただ、こんな状況でも自分が腐ってはいけません。
多くの人が出来ていないことをあえてやることが良いことだってあるのです。
それが他人にとっても良いことで、自分にとっても後で良いこととして返ってくるのであれば、やるべきではないでしょうか?
他人に対して自然と良いことが出来、なにも見返りを求めず、自分が行った親切を忘れることが出来る。
そういう人が最も尊敬が出来る人であり、良い人間関係を作り、お金と心を豊かにし、幸せな生活を送れるのだと思います。
もし、自分のことしか考えない人は、他人のことをよく見て、他人のために何が出来るか、考えて見るところから始めてみるといいでしょう。
仕事であれば、仕事で行き詰っている人を助ける、仕事に関して困ったことを話してもらい相談を受ける。
副業などの商売を始めるのであれば、儲けを先に考えるのではなく、どうすれば他の人を喜ばせることが出来るか、どうすれば今の生活をより便利にできるかを先に考えて実行に移す。
そうすることでお金は後から付いてきます。
自分が他人のためを考えて行った善意ある行為は無駄にはなりません。
何らかの形で自分に返ってきます。
このことを「情けは人の為ならず」という言葉は教えようとしているのです。
決して、意味を間違ってとらえて「人に情けをかけると自分のためにならない」と思うことがないように気を付けましょう。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。