今回は匿名契約の投資についてお話しします。
匿名組合契約の投資は出資者の立場が弱く、匿名組合契約の投資はポンジスキーム化しやすいこともあり、約束した投資を資金を集めた人がきちんとやってくれることが、必ずしも約束されているわけではありません。
なので、資金を集めた人がどんな人であるか、きちんと見極めないと危険なのです。
匿名組合契約は文字通りの匿名の契約である
匿名組合契約は文字通りの匿名の契約となります。
匿名組合契約は出資者が事業に対して資金を提供し、その事業から生じる利益を分配する契約である。
出資者が匿名で事業者に出資を行うことが特徴であり、オーナー商法や投資話の中にこの匿名契約が多く潜んでいます。
いや、ほぼ100%潜んでいると言ってもいいかもしれません。
この出資者が事業者に匿名で出資を行うことは、出資者に事業に関する責任を負う必要がないことのメリットを打ち消すほどの大きなデメリットがあります。
次節で、このデメリットについて触れていきます。
匿名組合契約のデメリット
匿名組合契約の場合、事業者と出資者が匿名で契約を結ぶことになります。
そして、ここからが問題で、出資者が事業者が行っている事業に対して一切口出しすることが認められていません。
出資者の立場は事業者に対し、「お金は出すからお前の好きなようにやってくれ」と言っているのと同じようなことです。
そのため、事業者の成績が良くない、出資者が出資したお金を目的と異なることに事業者が利用しても一切口出しできません。
こちらの権利は、事業者が出した利益から配当を得ること。
それ以外のことはすべて事業者次第となります。
出資者は出資額以上の被害を負うことはありませんが、匿名組合契約により実際に配当が出ると、欲が出て出資金を増やし、さらに大きな配当を期待するようになります。
配当が出ているときは良いのですが、もし配当が出なくなっても事業者に文句を言うことは出来ず、契約を解除することくらいしかこちらが取れる手段はありません。
それ以前に事業者が姿を消すこともあるため、契約の解除自体が難しいこともあります。
そのため、匿名組合契約というのは大きな損失を出しやすく、人によっては百万円単位で損を出す人もいます。
匿名契約は出資者の立場がとても弱く、事業者が何をしようと、事業者を咎めることが出来ません。
なので、匿名組合契約というのはよほど信頼できる事業者としか結んではいけないのですが、そのよほど信頼できる事業者というのは、そもそも匿名組合契約でお金を集めずに、銀行からの融資や債券発行や株式の発行で資金を集めます。
このことを考えると、匿名組合契約で出資者を集める事業者のレベルは推して知るべしと言ってもいいでしょう。
個人的に匿名組合契約で資金を集めようとしている人や事業者のことは一切信用していません。
匿名組合契約はポンジスキーム化しやすい
先に述べた通り、匿名組合契約で出資金を集める人のレベルはそこまで高くないと言っていいレベルです。
まず、優良な事業者はいません。
とにかくお金が欲しい事業者や、出資者の目的通りに事業を運用しても失敗してしまう事業者がほとんどで、広告などの宣伝を使ってでも資金を集めたい事業者もいます。
しかし、ここにポンジスキームの罠があります。
とにかくたくさんの資金を集めること、これは際限なくお金を集めることです。
きちんとした事業者であれば、一定の出資金が集まればそこで打ち切り、自分の事業に専念するものです。
なのに、ずっと資金を集め続けるというのはどういうことか?
事業が赤字になってその埋め合わせのために出資金を集めること、配当を出すためのお金を集めるために資金を集めること(これをタコ足配当と言います。タコが自分の足を食べる様子に見立ててこう呼ばれています)、そんな状態が考えられます。
しかし、そんな状態が長く続くことはありません。
どこかで出資がなくなり、事業が破綻し、債務超過となり出資者にお金を払えなくなります。
投資信託であれば繰り上げ償還と言っていくらかお金が戻ってきますが、匿名組合契約の場合は事業者がお金を払えなくなったらそれで最後、お金が戻ってくることはありません。
事業者が「返すお金がない」と言ってしまえば、それでおしまい。
出資者にお金が返ってくることがないのです。
そして最後は事業者と連絡がつかなくなる。
こうやって匿名組合契約を結んだ事業者は姿を消し、ポンジスキーム化してしまうのです。
なので、匿名組合契約を結んで出資する場合はこのことをよく理解して出資した方がいいでしょう。
個人的には匿名組合契約という記載があったらどんなものであっても出資をしない方がいいと思っています。
匿名組合契約はオーナー商法や不動産のクラウドファンディングなどで結ばれるものです。
どんな事業者か分からないのに高い利率に釣られて出資するのは愚かとしかいうしかなく、正直、事業者も救えないほど愚かですが、事業者も救えないほど愚かであると考えています。
投資信託は安全?
では、資金を集めてプロが資産運用する投資信託はどうでしょうか?
投資信託の場合、確かにお金で投資信託を購入して出資するのは匿名組合契約と同じように見えるのですが、いつでも買えていつでも売れること、そして状況が悪くなったら繰り上げ償還となり、いくらかのお金が戻ってくるという点で、匿名契約とは異なります。
出資金はある程度自由に選べ、証券会社が取る手数料はありますが、資産運用に精通したファンドマネージャー(投資の専門家的な存在の人)が資産運用すること、目的やテーマに沿わない資産運用が行われないことから、一定の信頼がおけると考えて問題ありません。
しかしCMで流れているような投資信託や、証券会社の窓口で進められる投資信託、アクティブファンドの投資信託で退職金や資金を減らす人もいるので、完全に安全とは言えません。
なので、投資信託を選ぶ場合は一体何に投資しているのかを理解すること、純資産がどうなっているかをきちんと確認すること(右肩上がりなら問題ない。安定していなかったり右肩下がりだと危険)が大切です。
ここでは投資信託についてこれ以上詳しい話をするのは控えますが、投資信託は使い方によっては匿名組合契約よりも安全と言えるでしょう。
自分も投資信託を積み立てで購入していますし、つみたてNISAも新NISAもきちんと利益が出ています。
ただし、レバレッジをかけるとほとんど紙切れのような状態になることがありますので、レバレッジをかけない投資信託を選んだ方が良いでしょう。
最後にもう一度 「匿名組合契約はやめておけ」
匿名組合契約はやめておけ!
これが自分の考えです。
匿名組合契約と契約を結んで出資を行った事業者から一時的に配当が出ても、欲を出すと最後に全て持って行かれることがあります。
このことについてはポンジスキームについて書いた記事があるのでこちらを参照して欲しいです。
前回の記事で紹介したみんなで大家さんとCOZUCHIも匿名組合契約に該当します。
投資の話は証券会社を通した方が良く(証券会社の窓口に行くよりもネット証券の方が自分のやりたい投資が自由に出来る)、企業や個人と直接契約を結ぶということは避けたほうがいいです。
不動産投資は難しいので知識がない人はやめておくことが一番無難ですね。
何に投資しているか分からない、それが一番怖いです。
そもそも投資をするのであれば、その投資先が何に投資しているのか、概要だけでもきちんと理解しておくべきです。
匿名組合契約はこれが出来ないという点でも怖いですね。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。