今回も『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』より「小魚と水」という話を紹介します。
水の中に住む小魚と陸上で生活するキツネが登場人物として出て来ます。
水の中と陸上、これが一体何を表しているかに注目してほしい話で、自分は小魚とキツネ、どちらの立場なのか意識しながら話を聞いてほしいと思います。
それでは「小魚と水」の話を早速紹介します。
「小魚と水」の話の内容
神が小魚にユダヤ教の大切さを教えようとしました。
しかし、小魚は「目に見えないものに価値はない」と興味を持ちませんでした。
神が小魚の周りの水をなくしたところ、小魚は水が無くなったことで大変な思いをしました。
神が小魚を水に戻したところ、小魚は神に「目に見えないものの大切さがわかりました」と話し、二度と水の中から離れようとしませんでした。
ある日、キツネが通りかかり、小魚に陸の上にたくさん魅力があることをからかいながら言いました。
しかし、小魚は水の中でしか生きられないことをキツネに話し、この話は終わります。
目に見えないものの価値
普段目に見えないものに目を向ける人はあまりいないと思います。
改心する前の小魚のように「目に見えないものに価値はない」と考え、「大切なのはお金」とすら思っている人もいるでしょう。
しかし、我々は酸素を含む空気がなければ生きていけないのです。
そういう目に見えないものも大事という考え方もありますが、少し考え方を広げてみましょう。
目に見えないものと言えば知識、人間関係、愛情、友情、信頼関係もあるでしょう(著書では宗教、絆、愛などが挙げられていました)。
何かに関する専門知識、これも目には見えないもので自分に役に立つものですが、文章にして書き出すことである程度は可視化できます。
頭の中の記憶、何かあった時の対処方法なども考えられるでしょう。
そのままでは自分自身でも他人にも見えないものですが、他人の役に立つのに大事なものです。
また、人からの信頼も目に見えないものです。
これらの目に見えないものがなくなるとどうなるでしょうか?
目に見えないものがなくなると、仕事も出来ず、給料を稼ぐことも大してできず、他人から孤立し、生きていくのが苦しくなってしまいます。
ちょうど水が無くなった時の小魚のようにです。
なので、お金などの直接目に見えるものだけではなく、ノウハウや知識、教え、愛情、友情、信頼関係といった目に見えないものを大切にすることが重要である。
これが小魚と水で語られている目に見えないものの大切さです。
地上と水の中
「小魚と水」の話でキツネは小魚に地上には美味しいものがたくさんあり、遊ぶものもたくさんある場所だと言います。
地上とは今まさに我々が生活している環境そのものであり、水の中とは質素に暮らしている環境と読み取ることが出来るのではないでしょうか?
水の中はユダヤ教で厳しい掟を守りながら送る誘惑のない生活、地上はテレビやスマホ、美味しい食事など魅力がある生活。
個人的には水の中に飛び込んで小魚のようになれる人は多くないと思うので、著者がやったようにユダヤ教徒になり、厳しい審査を受けてユダヤ人になることはおすすめしません。
適度に現代の生活の良さを楽しみ、誘惑に負けず、欲を出しすぎないようにすれば、それで十分だと思います。
しかし、人の信頼、生きるノウハウなどの目に見えないものは大切にしなければなりません。
当たり前のように存在するけど大切なもの、ここに注目して生きることを忘れてはいけません。
キツネと小魚のどちらになるかはその人次第
「小魚と水」の話を聞いてキツネと小魚のどちらになりたいか?
こう聞かれるとキツネと答える人が多いと思います。
現代での様々な魅力を楽しんでおり、それを失いたくないからです。
小魚と水の話を聞いて、キツネと小魚のどちらの立場を選びたいかは、その人の自由です。
しかし、折角「小魚と水」の話を知ったのであれば何か活かしてほしいと思いますし、陸の奥に進まず水辺にすむキツネ(つまり魅力がほどほどにあり、水の中を泳いでみることで水の中という誘惑のない生活も知っているキツネ)であってもいいと思います。
陸の上で楽しさを満喫する存在であれば、その時は楽しいかもしれません。
しかし、そういう生活をするとその生活が当たり前になります。
生活費を除いたほとんどを娯楽に費やすような生活となってしまうとお金は貯まりません。
知識もスキルもあまりなく、リスクに対する備えもない。
そんな生活を送っていると何かがあった時に困ってしまうのです。
お金を貯めたいのであれば何かを切り捨てる必要があります。
その切り捨てる行為が陸地の奥から水辺に近いところに移動する行為であり、お金持ちになりたいのであれば目に見えるものよりも目に見えないもっと大切なものに気づく必要があります。
目に見えるものしか信じない人は他人を大切にしません。
他人を大切にしないということは、人生をうまく生きていくのに必要な愛情、友情などの目に見えないものを大切にしないということです。
目に見えるお金や自分のことばかりを考える。
この生活を続けていると、その人はお金も心も豊かになれません。
例えお金を持つことが出来ても心は満足しないでしょう。
目に見えないものを大切にすることを理解した小魚のように、自分も目に見えないものを大切にしてみる。
少しずつでいいので、この考え方を自分の生活に取り入れてみてはいかがかと思います。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。