会社を辞めようとしたときに「権利を主張する前に義務を果たせ」と言われたことがあります。
しかし、本当に権利を主張して義務を果たさないのは会社側だったりします。
むしろ会社側の対応を見ていると、会社の方が権利ばかりを社員に押し付けて、経営者たちは義務を果たしていなかったりします。
このようなことを言ってくる会社は、自分の方がまじめに誠実な仕事をやっている自覚があれば辞めて問題ありません。
特に、退職時に「権利を主張する前に義務を果たせ」と言ってくる会社はまともな会社ではありません。
ただ、会社側から見て本当に権利ばかりを主張して義務を果たさない人がいるのも事実。
怠慢で不誠実な仕事をする人は会社側も「権利を主張する前に義務を果たせ」と言いたくもなるでしょう。
目次
仕事をまじめにしないのに給料を求める社員(社員側に問題がある場合)
「権利を主張する前に義務を果たせ」と会社側から言われた場合、言われた側が悪いこともあります。
まずは仕事をまじめにしないのに給料を引き上げることを求める社員です。
給料というのは売上に対する原価として発生するものです(売り上げに直結する人の給料は直接費、管理部門の給料は間接費として発生します)。
仕事をまじめにしないということは、それらの原価の分だけ働いていないということになります。
例えば仕事中に居眠りする(徹夜作業の休憩や昼休みの休憩時間に寝るのは普通の勤務態度です)、仕事をだらけた態度でやって、パフォーマンスが低く、ミスも多い。
ネガティブな言葉ばかりで周囲の雰囲気を悪くするなどです。
こういう人が給料の引き上げを求めても、そもそも今の段階で給料に見合った仕事をしていないので無理という話ですし、もし給料を引き上げたら周囲からの不満も出るでしょう。
そういう人は権利を主張するのではなく、まずは目の前にある仕事にしっかりと打ち込んで結果を出してから給料の引き上げのことを話すべきだと思います。
仕事をまじめにしないのに有休をしっかりと使う社員(会社側、社員側の双方に問題があり)
有休については、仕事をまじめにするかしないかとは別の問題で、仕事をまじめにしないから有休を使わせないということはあってはなりません。
仕事をまじめにしない人は利益を生まないので、あまり有休を使わせたくないのも分かるのですが、むしろ仕事をまじめにしない人がいない方が、会社のチームの仕事がうまく回って結果としてよかったということもあります。
確かに仕事をまじめにしない人が、自分の用事の為や休みたいからという理由で有休を使うことは腹が立つでしょう。
でも、有給の使用の可否は上司や経営者の感情で決まるものではなく、有給を使うと忙しくて仕事が回らない場合などに時期をずらしてもらうことしか出来ません(これを時期変更権と言います)。
それ以上を社員に求めてしまうと(例えば有休の消化を拒否すると)、仕事をまじめにしない人も権利を主張するけど義務を果たさないことになりますが、会社側も権利を主張するけど義務を果たしていないことになります。
仕事をまじめにして成果を上げている人にはなおさらです。
仕事をまじめにして成果を上げている人は、社員としての義務を果たしていることになります。
そういう人が有休を申請した時に「権利を主張する前に義務を果たせ」と会社側が発言しても、「お前がな」というのが率直な感想となるでしょう。
会社側が義務を果たしていないのに、義務を果たしている社員にそれ以上を求める。
これはブーメラン発言以外の何物でもありません。
仕事をまじめにして成果を上げている人に対して「権利を主張する前に義務を果たせ」と言ってしまうと、ブラック企業認定され、見切りをつけられて退職届を突き付けられることになってしまいます。
仕事をまじめにして成果を出す人は他社から欲しがられているので、今いる会社がよほど魅力的ではない限り居座るメリットがありません。
ただ、「権利を主張する前に義務を果たせ」と言った側が損をするだけです。
社員が引き継ぎをきちんとしているのに有休を消化させない(会社側が一方的に問題あり)
社員が対処が決まって引き継ぎをきちんとしているのに、「権利を主張する前に義務を果たせ」と言って有休を消化させないケースもあるでしょう。
これは違法であり、労基通告案件です。
自分がブラック零細企業を退職する時に実際に言われた言葉でしたが、退職を申し出た当時の自分はしっかりと仕事をしていて、会社の方から過大な仕事を押し付けられてとても苦しい時期でした。
今まで怠慢な仕事を行ってきていなかったのに退職前に「退職時に有休を消化したい」と伝えて、会社側から言われた言葉が、「権利を主張する前に義務を果たせ」でした。
なお、その会社は完全自社開発を名乗っていながら、自分を約2年間くらい派遣の仕事をさせていた詐欺みたいなことをしていた会社でもありました。
会社も黒なら社長も黒。
令和の価値観が通用せず、バブル期そのものの考え方が抜けていない経営者であり、その経営者の下で7年半ほど働いてきたことを大変後悔した時でもありました。
派遣先でもタメ口後輩がいるわで(プロパーではなくその人も派遣)、とてもストレスが溜まる会社でした。
退職時に「権利を主張する前に義務を果たせ」と自分に言ってきた会社は、過去の記事で何度か出てきた自分が退職前にパワハラを受けた会社と同じであり、己の素人経営を棚に上げ、社員に経営者と同じレベルの頑張りを強要するとんでもない会社でした。
そして、給料を通常の給料を低く設定し、請負契約の報酬を高く設定し、併せて月給35万オーバーもらっていましたが、このからくりが地雷であることは請負契約を結んでかなり時間が経ってからでした。
この会社は請負の報酬の支払い日を双方の合意なしで勝手に変更した経歴もあります。
この会社は退職代行を使って辞めた会社でもあるのですが、退職時に本来であれば支払うべき請負契約の報酬を「当人とは先月までで請負を終了すると合意が取れている」と息を吐くように嘘をつき、請負契約の報酬を支払わなかった。
これもまた労基通告案件の問題発言であります。
この会社はどこかで倒産するだろうと判断したため、あえて請負案件の報酬をもらうことをせず、引継ぎ資料はきちんと残し、こちらに非がないようにしっかりと手順を踏んで退職代行を使って有休をきちんと取得して今の会社で働いています。
この会社は社員には「権利を主張する前に義務を果たせ」と言っておきながら、いざとなると自分側が権利ばかりを主張し、自分たちの義務を果たさなかった最低の会社でした。
話を戻しますと、きちんと退職に向けて引継ぎ等の仕事をやっている社員に対し「権利を主張する前に義務を果たせ」と言ってくる会社はまともな会社ではありませんね。
有休消化を拒否、退職金を支払わない、最終月の給料を理由もなく大幅に減らす、これらは労基に報告していいレベルです。
但し、退職金だけは法律上の義務ではないので弁護士を通して交渉する必要があります。
「権利を主張する前に義務を果たせ」という言葉は一方的な言葉であると自分は考えています。
他責思考の強い会社が使う言葉であり、必ずしも正しいとは言えません。
義務は確かに大切ですが、権利も守られてしかるべきもので、権利をおろそかに扱うことは出来ないのです。
自分にとってこちらが仕事をきちんとしている場合、「権利を主張する前に義務を果たせ」という言葉は、会社の逃げの言葉としか感じられません。
会社側が責任を取りたくないから、社員の権利を認めたくないから言っているだけにしか思えないのです。
もしこの記事を見て頂いている方の中で、「権利を主張する前に義務を果たせ」と言われた時に自分に心当たりがあったり非があったりして是正していくところがあれば対応をするべきですが、何も問題がなければ少なくとも会社で果たすべき義務は果たしています。
そのため、「権利を主張する前に義務を果たせ」と言われてもこちらがおとなしく従うのではなく、毅然とした態度で立ち向かうことをお勧めします。
それが、自分の身を守ることですから、なんでも会社の言うことに従っていればいいというわけではないのです。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。