タルムードから学ぶお金の話19 「鶏の卵の運び方」はリスク分散の方法を学ぶことができるユダヤ人の教育方法

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タルムードから学ぶお金の話19 「鶏の卵の運び方」はリスク分散の方法を学ぶことができるユダヤ人の教育方法

今回は『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』より「鶏の卵の運び方」の話を紹介します。

鶏の卵を運ぶとき、それを一度で運ぶか、それとも二回以上に分けて運ぶかという話ですが、果たしてユダヤ人にとってはどちらの方法を良しとするのか?

それはなぜなのかを考えてもらう、きっかけになればと思います。

「鶏の卵の運び方」の話の内容

ユダヤ人の母親が子供に鶏小屋に行って鶏の卵を取ってくるように言いました。

子供は鶏小屋に行き、両手いっぱいに卵を抱えて台所に戻ってきました。

母親はなぜ両手いっぱいに卵を持ってきたのかと子供に聞いたところ、子供は一回で済むからと答えます。

母親は一回で済んでも途中で転んだら卵がだめになることを説明し、どうすれば卵を全部だめにせずに済むかを子供に質問しました。

子供は次の日に同じ用事を頼まれて、今度は二回に分けて運んできました。

母親はこの行動をほめて甘いお菓子を与えました。

多くの人が一回で済まそうとするであろう、鶏の卵を運ぶ用事

鶏の卵を日本人が運ぶ場合、卵を一つのかごに盛り、一度に運んで鶏の卵を持ってくる用事を済ますことでしょう。

そしてその行為をほめる親がほとんどだと思います。

二回に分けて運んできた場合、親は「なぜ一回で運ばなかったのか、なぜそんな効率の悪いことをしたのか」と叱ることのほうが多いでしょう。

どうして二回に分けて卵を運ぶとユダヤ人の母親は褒めるのか。

一回で運んだほうが効率の面で優れていますし、ビジネスの観点からでは正解となる気もします。

しかし、卵を一度で運ぶことは一つ大きな問題を抱えているのです。

これが今回の話の教訓でもあります。

鶏の卵の運び方はリスク分散の考え方を子供に教えている

株式投資の格言で「卵を一つのかごに盛るな」というものがあります。

一つの株やセクターに集中投資をすると何か悪いことが起こった時にその影響を大きく受けてしまうことになります。

卵の入ったかごが落ちたらすべての卵が割れてしまうように、投資額の多くを失ってしまうことにもなりかねません。

そうならないために複数の株やセクターに分散させてることが卵を複数のかごに盛ることになります。

卵を複数のかごに盛ると、かごが一つ落ちても残りのかごに入った卵は無事です。

つまり、卵を複数のかごに盛ることでリスクを集中から分散に変えることができるのです。

卵を運ぶ時も同じで一度にすべて運ぶと転んだらすべてだめになる。

二回以上に分けて運べば卵をすべてだめにしてしまう確率を大きく減らすことができます。


鶏の卵の運び方は株の話について話しているわけではありませんが、お金の基礎知識の一つであるリスク分散を子供に教えているのです。

だから一度で卵をたくさん抱えて運んできた子供に、どうすれば転んでも鶏の卵をすべてだめにせずに済むのかを考えさせ、実際にやらせることで正しい行為としてほめる。

子供は褒められるとうれしいので、リスク分散という言葉は知らなくても知識や意味を理解するようになり、それからの人生に活かしていけるようになります。

三本の矢の話と五本の矢の話

日本では毛利元就が三人兄弟に「矢は一本一本は折れやすいが三本に束ねると折れにくくなる。だから三人兄弟で力を合わせるように。」と教えた話が知られています。

この話の影響なのか、日本には一人で行動するよりも集団で行動することをリスク回避だといる人も結構いるようです。

仕事であればチーム一丸となって頑張るのは悪いことではないかもしれません。

しかし、これが戦争などになると集団を作って戦おうとするとそこが弱点となってしまいます。

戦力が集中しているところを叩けばほぼ戦力が失われるので、あとはその国に乗り込んで占領していけばほぼ勝てるでしょう。

天災や地震も同じです。

東京に都市直下型地震が来ると危険と言われているのは東京を含む関東圏に人口が集中しているからで、東京がだめになると日本の経済力は大きく損なわれることでしょう。


五本の矢の話は全く逆で「五本の矢は一本一本バラバラにせよ」というロスチャイルド家の家訓です。

五本の矢を束ねておくと折れにくくはなるかもしれませんが、もしその束ねた矢を折る力がある人が現れると、一度に五本の矢が折られ、矢はすべてだめになってしまいます。

五本の矢をバラバラにしておくと一本の矢が折られても四本の矢が残ります。

18世紀の頃、ロスチャイルド家は五人の兄弟を同じ場所に集めるのはリスクが高すぎるということで、ドイツのフランクフルト、オーストリアのウィーン、イギリスのロンドン、イタリアのナポリ、フランスのパリとヨーロッパ各地に分散させました。

ユダヤ人迫害があった時、五人まとめて集まっていれば全滅しますが、分散させておくことで一人か二人生き残れる。

戦争に巻き込まれても戦争が起こっていない国の兄弟は生き残れる。

そうやってロスチャイルド家は今まで生き延びてきたとのことです(最終的にはロンドンとパリにいた二人が助かりました)。


矢を束ねて頑丈にしても、その矢を折る人が現れる

そのリスクを知っているからこそ、ユダヤ人は鶏の卵の運び方の話でリスク分散を子供に教えようとしているのではないでしょうか?

まとめ

今回の「鶏の卵の運び方」の話は日本人にとって受け入れがたい話かもしれません。

実際に多くの日本人がリスク分散について理解していません。

一つの会社で働き、そこで定年まで過ごす。

副業も投資もしない。

これが当たり前だと思っている人は結構います。

株で投資するにしても一つの投資信託、しかも銀行や証券会社の人に勧められるままに投資商品を買い、そこに一点集中の投資をした挙句に多くのお金を失う話もよく聞きます。

お金を貯めたり増やしたりするために重要なことはリスク分散である

このことはしっかりと覚えておいたほうがいいでしょう。


「卵を一つのかごに盛るな」という言葉と、二回に分けて卵を運ぶこと、これはリスク分散という観点で考えると同じことです。

卵を一度に運ぶことのほうが効率がいいという考え方から離れて、リスク分散のために卵を二回に分けて運ぶ考え方もある。

この考え方もしっかりと理解して身に着けておくと、いざという時に役に立つことでしょう。

今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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