今回は『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』より、用心しすぎたアラブの商人の話をします。
今回出てくるアラブの商人は準備をしっかりして旅に出るのですが、準備をし過ぎたことにより大変な目にあってしまいます。
この話を通して学ぶべきことは何か、しっかり注目しながら話の内容に目を通してほしいと思います。
目次
「用心しすぎたアラブの商人」の話の内容
ある時、アラブの若者が商人として初めて砂漠横断の旅に出ました。
途中で砂嵐が来ると聞いていたので、水を旅に必要な2倍の6樽、ラクダを2頭用意して旅に出ることにしました。
砂嵐はなかったものの、ラクダが水の樽の重さにへばり、その場から動かなくなりました。
若者はラクダを2頭とも捨てて積み荷だけを持って旅を続けることにしました。
しかし、半日もしないうちに砂嵐がやって来て全く方向が分からなくなり、若者はその場で砂嵐がおさまるのを待つことにしました。
砂嵐は三日三晩続き、食料が尽きてしまいました。
砂嵐がおさまった時、若者には積み荷を背負っていくだけの体力は残っていませんでした。
水筒のみを腰に下げ、命からがら近くの村にたどり着きました。
若者はラクダも大切な積み荷もすべて失ってしまったのです。
「用心しすぎるのに越したことはない」というのは本当か?
「用心するのに越したことはない」、「いくら用心しても用心しすぎることはない」という考え方があります。
用心を重ねてミスをしないように注意を払うことが重要であるということです。
しかし、これは本当に良いことなのでしょうか?
確かに様々な想定をして準備をしておくことは大切なことです。
しかし、想定していたことが全て起こることは滅多にあることではありません。
準備にお金と時間をかけすぎた結果、良い時期を逃してしまうこともあり得ることです。
つまり、石橋をたたきすぎて壊してしまうくらい用心しすぎることはリスクにもなるのです。
いくら用心してもリスクが0になることはありません。
むしろ用心しすぎたことがかえってリスクを高めることになってしまう。
過度な用心をせずに、適正なリスクを取ることが大切であると「用心しすぎたアラブの商人」の話は教えてくれているのです。
難破船の三人の乗客の話との比較
「難破船の三人の乗客」の話を思い出してみましょう。
フルーツを全く採りに行かずに飢えてなくなった乗客、フルーツを食べすぎて船に戻れず無人島で一生過ごすことになった乗客、フルーツを適度に食べ船の修理が終わる様子が見える場所までしか島の奥に行かなかった乗客。
どの乗客が一番いい結果になったかというと、船の修理が終わる様子が見える場所でフルーツを適度に食べた乗客が一番いい結果となりました。
この乗客だけが助かり、残り二人の乗客はバッドエンドを迎えたわけです。
「用心しすぎたアラブの商人」の話に出てきた若者はこの三人の乗客のどのタイプだったでしょうか?
個人的には船から全く降りずにフルーツを食べずに過ごした乗客と同じタイプであると考えました。
リスクを自分で取りに行くということは大切ではありますが、リスクを心配しすぎて用心に用心を重ねてしまう。
これで動けなくなってしまったのが「難破船の三人の乗客」の船に残り続けて飢えてなくなった乗客。
過剰な準備をして旅に出た結果すべてを失ったのが、「用心しすぎたアラブの商人」の話に出てくる若者です。
行動の違いこそありますが、リスクを低く抑え過ぎようとして行動したことは共通しています。
ではアラブの商人の若者はどうすればよかったのか?
水6樽、ラクダ2頭という、行き過ぎた準備をしたことが災いとなり、全てを失うことになったアラブの商人の若者。
用心に用心を重ねた結果、かえって危険にさらされることになりました。
ではこのアラブの商人の若者はどうすればよかったのでしょうか?
この話には答えは書かれていません。
しかし、反対にしっかりと準備せずに旅に出たとしても、結局砂嵐には襲われていたことだろうし、危険にさらされたときに命はなかったかもしれません。
つまり用心しすぎることもNGで、楽観しすぎることもNGとなります。
ベストな答えは適切な準備で旅に出ることではなかったでしょうか?
水は必要な3樽、ラクダは2頭いても良かったかもしれませんが、水3樽であれば1頭でも間に合ったことでしょう。
用心に用心を重ねて旅に出るよりも、きちんと適切に用心して、準備をして旅に出ればよかったのです。
それでも砂嵐が起こるリスクはあったかもしれません。
しかし、それでも適正な準備をしていればラクダという移動手段が残っていたし、水も十分にあった。
とすれば、砂嵐がおさまった後に体力が残っていなくても積み荷を持ってラクダで移動して村にたどり着くことが出来たのではないでしょうか?
一体どうすればよかったかということを考えることが大切であり、話から考えを膨らませていく。
これがタルムードの話を聞く意味のある行動であり、お金に関する考え方でも大切ですし、普段の生活の考え方でも大切なことになります。
まとめ
今回は『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』より、「用心しすぎたアラブの商人」の話を紹介しました。
用心を重ねることは良いことであると思うかもしれません。
「用心して無用心しすぎることはない」、「用心するのに越したことはない」という言葉がありますが、用心しすぎてもリスクがあり、うまくいかなくなることを今回の話では教えてくれています。
山に行く時もそうですが、用心しすぎて必要以上に荷物を持っていくと、それが自分への負担となり、行動することへの妨げとなります。
いくら用心しても用心しすぎることはないというのは嘘です。
用心をするにしても限度がある。
限度を超えた用心はリスクになり得ることをしっかり理解する必要があります。
準備しすぎてもNG、用心しすぎてもNG。
適切な準備や用心をすることが大切である。
この事をしっかりと理解して何かに対して行動するときの参考にしてほしいと思います。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。