同じ商品でもなるべく安いところを回って買ったり、値引き交渉をしたりすることはありませんでしょうか?
この安く買うという行為は一概に悪いものではありませんが、相場より安い価格しか支払わずに買い物をしたりサービスを受けること、または相場より安い価格で人を雇うことはどこかに相場との差額分だけのしわ寄せがくるということでもあります。
そのため、買い叩きをすると巡り巡って自分にも影響が出てきます。
なので、自分を不幸にする行為が買い叩きであると言っても過言ではありません。
会社の買い叩きも同じですね。
会社が給料を安くして人を買い叩くと、それにより、物やサービスの買い控えが起き、不景気が起こり、買い叩きした会社も買い叩かれ、会社も働いている人も不幸になります。
買い叩きをすると自分も買い叩かれる
買い物で買い叩きをする人が多いとどういうことが起きるかというと、まず買い叩きをされた側の売上額が減ります。
しかし、原価や税金がそれに応じた分だけ安くなるわけではないので、利益が少なくなる。
場合によっては赤字になってしまいます。
そうなると何が起きるか?
買い叩かれた側は社員などの従業員に還元するお金が少なくなるので、商品の原価の見直し、ボーナスの減額やカット、給料を下げるなどして何とかコストを抑えることでやり過ごすことになります。
こうして買い叩きが起きると、買い叩きをされた会社に影響が出て、そこで働いている人の給料やボーナスに影響してきます。
さらに考えてみると、働いている人の給料が安くなると、それだけ働いている人やその人が養っている家族がお金を使えなくなるということです。
つまり、その分だけ物が売れなくなります。
そうすると、買い叩きをされた会社以外も売り上げや利益の低下が起こり、また物が売れなくなります。
このことが負のループとなり、買い叩きをした人は自分のもらえる給料も下がることになる。
つまり、買い叩きをした人も最終的に買い叩かれる不幸な結果になるのです。
会社の買い叩きは不況を作り、日本全体が不幸になる
良く年収800万円でやるべき仕事に対し、年収600万、酷い時には年収400万円で仕事をさせる会社があります。
今の時代では大手、中小企業ともに値上げに連動しない昇給や薄給で働かせる会社がたくさんあります。
会社側にお金がないというのもあるかもしれません。
しかし、本来800万円でやるべき仕事を600万円で請け負ってしまうと、その仕事をする人はそれだけ自由な暮らしが出来なくなるし、節約をしなければならなくなります。
貯蓄や投資に回すお金も減り、財布の紐も固くなる。
そして、物の買い控えが起きることになります。
なので、会社の従業員の買い叩きは人々の買い控えを起こしてしまうことになります。
するとどうなるか?
物があまり売れなくなり、不景気の状態となります。
そして日本全体を不幸な状態にさせてしまいます。
なので、会社が人件費をもったいないと思って安月給で人を使うことは何の経済成長にもつながらないし、むしろ不景気を長続きさせてしまう原因となる。
だから、会社が従業員を買い叩くことは決してやってはいけないのです。
そして、日本で行われている買い叩きはもう一つあります。
それは、大手企業の下請けに対する買い叩きです。
大手企業が下請け企業に部品を発注する場合、この金額でないと仕事を依頼しないと相場よりもかなり安い金額を提示して発注することがあります(この件は時々ニュースにもなっています)。
下請け企業は売り上げを上げないといけないのでその仕事を請けざるを得ないのですが、相場より安い金額で仕事を請けるということは、利益を減らしてまで仕事をしなければいけないということです。
その影響で大手企業だけは今まで通り肥えた状態で、下請けは苦しくなってどんどんやせ細っていく。
これも、日本の中小企業が苦しい思いをしている原因であり、不況を作り出している原因です。
派遣労働もそうなのですが、コストカットのために人を安く使うということはどこかで無理が来ます。
人を安く使うということは、安い値段でしか物が売れない、または買い控えが起きて利益に結びつかないということです。
買い控えが起きるとさら買い控えが起きるループが起き、不景気に落ちるループをたどることになるのです。
失われた30年は政府の失政と会社の買い叩きで起こった
ニュースを聞いていると失われた〇〇年という言葉を耳にすることが良くあります。
日本はバブル期までは会社がしっかりと給料を出し、その分消費が活発であり、うまくお金が回っている状態でした。
自分が子供の頃は良く親に外食(時には中華のコース料理)に連れて行ってもらっていたものです。
しかし、バブル崩壊後は会社が給料を出さなくなり、人を雇わなくなりました。
これが就職氷河期と呼ばれる時代を作り出しました。
就職氷河期の人は子供の頃は体罰、中学、高校は受験戦争を経験してきた世代で、大学卒業時期は百社にエントリーシートを送ってほとんどが書類不通過、面接に行けたとしても圧迫面接だったりして、会社が就活生を下に見て人を採用していたのです。
そして、良い大学を出た人でさえまともな会社には入れた人は少なく、コンビニのバイトをすることになり、コンビニ側は当時は安い賃金で優秀な人を雇うことが出来たため、ウハウハの状態だったようです。
しかし、ここで会社は判断を大きく誤ってしまいました。
就職氷河期の人たちをしっかり採用して会社に穴が開かないように、長期的な視線で見ていく必要があったわけです。
しかし、多くの企業が目先の利益のことばかりを考えて、これをやらなかったわけです。
だから、不景気は回復することがなかったし、40代、50代の社員がいない、会社に穴が開いた状態になった。
そして、政府は今まで専門職だけに許されていた派遣制度を緩くして、今まで派遣が許されなかった業界にも派遣社員を受け入れることが出来るようにしてしまったのです。
これらの派遣は正社員よりも給料が安く、派遣先の社員の言うことを聞きながら作業をさせられるわけで、実に面白くない働き方になります。
以前から派遣が認められていた専門職の派遣は高給でしたが、一般の派遣は月収20万円とかは平気であり得ることで、中には手取り20万円行かない人も多くいました。
この低年収の層を作り出したことで、景気の後退がさらに悪化。
それにもかかわらず、社会保険料、年金負担の引き上げ、消費税増税と、政府が国民からお金を搾り取る悪政を続けたせいで、今では失われた〇〇年はもう取り返しのつかないところまで来てしまっています。
就職氷河期が終わってからは会社がそこまで社員や従業員を買い叩かなくなったように思えますが、それでも正社員の給料はそこまで増えていません。
2020年代のインフレに合わせて初任給を上げる企業もありますが、それが出来るのは大手企業などの一部に限られ、中小企業はインフレによる家計負担額の増加>昇給額の状態になり、昇給してもそれだけお金を税金で持って行かれ、買い物をしてもかなりお金がかかるため、いつまでたっても節約生活から抜け出せなくなる、それどころか状況がどんどん苦しくなる状態になっています。
消費者が物の値段が安いことに慣れてしまい、値上げに強い抵抗感があるのも日本の不況が続いた原因ですが、やはり就職氷河期世代の人を買い叩いて働かせたこと。
これが一番の日本の不景気の原因ではないかと思います。
就職氷河期世代の人は第二次ベビーブームで生まれた子供が大人になった人が主な対象になります。
なので、数が多いため、うまく利用していていたら失われた〇〇年は解消していたかもしれません。
就職氷河期世代に人についてはまた別記事で作成したいと考えていますが、会社の買い叩き、不景気の時の増税、そして派遣労働者の条件緩和。
これらが日本を不景気にした原因だと自分は思っています。
2024年の日本では家計が苦しいと答えている人がかなりいます。
マイナビの調査でも家計が苦しいと答えている家庭が46%くらいいると調査もありました(マイナビ調査「共働き世帯の正社員に聞いた 仕事・私生活の意識調査2024年(2023年実績)」による)。
会社の買い叩きとは従業員に適切な給料を支払わないということ(今は転職が当たり前の時代なのでこのような会社は淘汰されていくと予想されますが)。
人々にお金がきちんと回らなければ、それだけ人の財布のひもが固くなって買い控えが起きて物が売れなくなってしまうということ。
買い叩きを行った会社も巡り巡って買い叩かれるのです。
だから買い叩きというのは個人レベルでも会社レベルでも好ましい行為ではありません。
目先の利益だけを見て買い叩きを行うことはNGです。
きちんと将来どうなるかを見据えている人は買い叩きなどしません。
なぜなら、買い叩きをすると自分も買い叩かれることが分かっているからです。
適正価格の取引。
これをしっかり守れば自分が買い叩かれることは減っていくことでしょう。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。