商売というものは信頼関係があってこそ成り立ちます。
信頼関係は築くのに長年努力しないといけない、そして信頼関係を築いてもその信頼関係を保つために努力をしないといけませんが、壊すのは一瞬です。
今回は、この信頼関係について説明し、どうすると一瞬で壊れるか説明します。
信頼関係を築くためにやるべきことは特別なことではないことも併せて説明します。
信頼関係というものはいかにして築かれるか?
信頼関係というのは両者がお互いに信用することで成り立つものです。
相手から一方的に信頼されて信頼関係が成り立つことはまずありません。
お互いがお互いのためを思い、誠実な行いをする。
その積み重ねによって出来るのが信頼関係です。
一度だけいいことがあったからと言って信頼してくれる人はそこまで多くないはずです。
しかし、そのいいことが何度も繰り返し起こったらどうでしょうか?
「ああ、この人は信頼できるな」と思いませんでしょうか?
そして、いいことがずっと起これば、その人や会社のことを完全に信頼できるようになる。
こうやって信頼関係というのは築かれるのです。
信頼関係を築いていくのに必要なこと
相手からの信頼を得るために必要なものは、何も特別なことはありません。
相手に対して誠実であること。
ただこれだけです。
外面だけ誠実であってはダメで、裏で陰口を言うような人や、裏で悪い行いをする人はあまり信頼してもらえません。
友人関係も企業間の関係も同じで、相手に寄り添った行動が出来るか?
ただし相手に寄り添いすぎると、確かに相手から信頼されるかもしれませんが自分が損することになりますし、疲れます。
これは本当の信頼関係ではありません。
適度に相手に寄り添うことが大切です。
相手に誠実であり、相手のことを考えて相手に寄り添った提案をする。
相手のことを良く知り、相手の喜びそうなことを行う。
もしその行動が相手にとって期待外れなものであっても、一生懸命動いてくれた、誠実に対応してくれたという事実があれば、その行動に関して相手は喜んでくれます。
なお、この行動を理解せずに期待外れなことをされると怒る人がいますが、そういう人とは信頼関係は結べません。
なぜなら相手が相手のことを信じていないか、相手があなたのことを利用したいだけだからです。
こういう人とは信頼関係を絶対に結んではいけません。
一方通行の信頼関係であり、あなたが得をしないからです。
誠実な行動を相手に対して行うのは一度だけではだめです。
常に相手のことを考えて誠実であること。
これが出来れば相手からの信頼は一層深くなり、より強い信頼関係に変化します。
なので、信頼関係を築くのに必要なものは誠実であり、相手のことを考えて行動すること。
ただこれだけなのです。
でもこれを実践するのが難しい。
最初はいいのですが、時間が経つと慢心が生まれる。
慢心が生まれると、どうしても自分のこと優先で考えて行動してしまうようになる。
だから相手との信頼関係を築くことと、信頼関係を維持するのは難しいのです。
信頼関係はいかにして壊れるか?
信頼関係はどうやったら壊れるか?
それは一度不誠実なことを行うだけで壊れます。
例えばこういうことはないでしょうか?
いつもお気に入りの店で、サービスが良く、店員も親切にしてくれる。
そして、店員と気さくに話をすることが出来、最高の時間を提供してくれる。
しかし、ある時にオーナーや店長が変わり、相手を喜ばせることからコスト重視のサービスになる。
今まで店員の態度が良かったのに、この時を境に店員の態度が悪くなり、サービスの質も悪くなる。
そして、お金儲けをしたいばかりに大幅に商品やサービスの値段を上げる。
こんなことがあったらもうその店に二度と行かないと思いませんでしょうか?
そうなんです。
これが、信頼関係を壊すと言うことなんです。
たった一度の不愉快な思い出で、相手に対する信頼なんてなくなります。
ここで相手が謝って不誠実なことを二度としないように約束して、その約束を相手が守れば信頼関係が保てる場合がありますが、相手が何もフォローしないとここで信頼関係は終わります。
会社同士の信頼関係でも同じことです。
ある会社に優秀な担当者がいて、その人は取引先のことを考えて取引先と自社の両方に関するメリットがある提案を行い、多くの取引先から信頼を得ていた。
会社が納品する製品の品質も良く、取引先に常に満足してもらえるものであった。
担当者とつながっている技術者たちも、取引先から「ここを直してほしい」と言われてもすぐに対応してくれて、しっかりと製品を使いこなしてきた。
しかし、とある理由でその担当者が会社を退職することになった。
会社はその担当者を惜しみながら送り出し、新しく担当者の代わりになる人を見つける。
しかし、代わりの担当者が横柄で不誠実。
新しい担当者が自社の利益や自分の業績のことしか考えない担当者であり、今までと態度が違う担当者に対して取引先が不満を募らせる。
「以前の担当者が仕事を誠実にやってくれるから取引していた。でも、もう今の担当者の態度を見るとおたくの会社を信頼できないから取引を停止したい」
そう考える会社が出てきても不思議ではありません。
上司がフォローすることで何とか事なきを得るが、取引先は「もうあの会社は信用しないほうがいいのではないか?」と考え始める。
こんな問題があっても担当者は同じような態度で取引先に接し続ける。
また、技術者に対しても的外れの内容や納期で仕事を振り、開発の現場を混乱させる。
結果として新しい担当者は取引先から取引を停止され、会社に対して大きな損失を出してしまうことになる。
このことは会社側の判断ミスによるものか、優秀な人材が他に居ないかのどちらかのケースで起こるものですが、いずれにしても不誠実な担当者を選んでしまうことで取引先から取引を切られることは会社にとって大きな損失となります。
これを新しい担当者に責任のすべてを押し付けるような会社もありますが、そのような会社はもう先は長くないでしょう。
仕事の自社と取引先の信頼関係であっても、たとえ何年と信頼関係を築いてきたとしても一度の不義理で信頼関係というのは簡単にひびが入り(ここで壊れてしまう信頼関係もあります)、二度目の不義理で信頼は簡単に壊れてしまいます。
ですので、取引先とやり取りをする担当者を変える場合は、なるべく誠実な人を当てなければいけません。
誠実さがあれば前の担当者ほどの実力がなくても、取引先が育ててくれます。
また、会社と社員の信頼関係についても触れておきます。
一代目の社長が会社を築き上げ、二代目や三代目の社長が会社を壊すというのはよくあることです。
創業者である一代目の社長が取引先や社員との信頼関係を重点的に意識し、取引先に対しても、社員に対しても良好な信頼関係を築き、会社を大きくしていきました。
しかし、創業者の息子が新しい社長になったら、ろくに経営の勉強もしているわけでもなく、社会人としての経験もないのにもかかわらず「親父の考えは古い」と言ってコスト削減や儲けを意識するようになり、取引先との関係が二の次になってしまった。
また、社員を雑に扱うようになり、給料や賞与、福利厚生などを次々と改悪。
有休もとらせず、長時間労働を強いて残業代も支払われなくなる(これは少し極端かもしれませんが)。
結果を出さない社員を朝礼でつるし上げ、恐怖政治のような雰囲気になる。
一代目の社長を信頼して付いてきた古株の社員がこれに反発するも、「俺のやり方が気に入らないのであれば出ていけ」と言い、本当に実力のある古株の社員が辞めてしまう。
それを見た優秀な社員も次々と会社を辞めてしまう。
残ってるのは二代目の社長の言うことを聞くイエスマンばかり。
二代目も経営者はこの状況を見ても「気に入らない奴は出て行って構わない。代わりはいくらでもいる。」などと考え、代わりの人がいない現実を受け入れることが出来ずに業績が悪化し、会社自体が倒産してしまう。
このように、経営者が変わって経営方針が変わる時も注意が必要です。
何代も社長が変わってもうまくいっている会社はあります。
それは創業者の社長の意識をきちんと引き継ぎ、今まで伝統として守ってきたからです。
だから代変わりしても信頼関係はそのまま残るわけです。
なので、個人的には創業者の意思をいかに引き継ぐか、これが社長が変わるときに注意が必要な点だと思います。
経営者の世襲そのものが悪とは考えていませんが、自分の息子や娘を社長にするためにはある程度社会経験を積ませ、古株の社員から鍛えられて信頼されるようになってから、後を継がせることが必要です。
社会人経験がない、社長の子だからと言って何不自由ない生活を生まれてから今まで送ってきた。
そんな人が社長になっても、社長という肩書に酔って横柄な態度を社員に取ってしまい、社員からの信頼を失うだけです。
社長の代替わりは社員との信頼関係を維持できるかどうかの重要なイベント。
社員との信頼関係を失いたくない場合は、きちんと考えて次の社長を決める必要があるでしょう。
働く上では信頼関係は個人レベルでも必要である
信頼関係というものは会社と会社の間での関係だけのものではありません。
個人レベルでも大切なことです。
会社から信頼される人は給料も多くもらえ、重要な仕事を任せてもらえます。
しかし、会社から信頼されていない人は、そこまで重要な仕事も任せてもらえず、いいポジションを与えてもらえず、給料も安いままです。
ですので、個人レベルでも誠実な仕事をして会社との信頼関係をすることは大切になってきます。
決して手抜きして質の悪い仕事をしたり、周りとのコミュニケーションをきちんと取らなかったり、他人の実績を横取りするようなことはあってはなりません。
これは昔の自分がそんな感じだったのですが、昔の自分はプライドだけが無駄に高く、それに伴った実力もない。
自分を過大評価して仕事をきちんとせずに、他人の実績を横取りしようとしてトラブルばかり起こす人だったのです。
このブログを見に来てくれている方には以前の自分のような人にはなってほしくなく、働く上では会社から信頼を得ることが重要であることをきちんと意識してほしいと思います。
会社から信頼が得られると働きやすくなるというメリットがあり、自分の実力をしっかりと仕事に注げるようになります。
また、自分の居場所を感じることが出来るというのは大きく、自分の居場所があると感じると安心して仕事が出来るようになります。
その結果、質のいい仕事が出来て、周りからも信頼され、取引先からも信頼してもらえる。
そんな人を会社が放っておくわけがなく、それなりにいいポジションを与えて会社に残ってもらえるように動いてくれるはずです。
個人レベルでの信頼関係も仕事では大切なことです。
周囲の人との信頼関係、自分と会社との信頼関係。
これらがうまく築けているかよく確認し、うまく築けていないようであれば自分の考え方を改めたほうがいいでしょう。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。