仕事の改善方法としてよく知られているのがPDCAサイクルを回すことですが、最近ではGooGleのサジェストで「PDCA 古い」というキーワードが表示されるようになり、検索結果に表示されているページを読んでみるとなるほどと思う部分がありました。
そして、OODAという仕事の改善手法があることが分かりました。
そこで、今回はOODAとは何なのか?
どんな方法で仕事の改善を行っていくかについて説明したと思います。
目次
OODAとは何か?
PDCAでは計画→実行→検証→改善という手順で、仕事の改善を行っていました。
OODAとはウーダと読み、Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(決定)、Act(行動)の4つの英単語の頭文字を取ってつけられた略称となります。
PDCAではP(計画)の段階で時間がかかってしまうことがボトルネックとなり、変化の速い時代にそぐわないと言うことで、古い仕事の改善方法と言われるようになったようです。
OODAではこの点を改善したような形となり、OODAを繰り返し適用する時はサイクルではなくループという言葉を使います。
O(Observe)でやること
O(Observe)では文字通り観察を行います。
意思決定をする人が周囲の状況(ライバルの動き、顧客の動き、現場の人による観察と情報収集)を把握し、生のデータを集めます。
自分があらかじめ決めておいた方針にとらわれず、バイアスなしで得られた生のデータを見る必要があります。
ここで、自分のバイアスに従って生のデータを見てしまうと、状況を誤って判断してしまうことになりかねないので、「最初にこれありき」の出来レースになる状況観察にならないように特に気を付ける必要があります。
ここで、自分の最初に決めた方針に従ってバイアスありの状態で生のデータを見てしまうと、次の段階以降でやることに影響が出て、きちんとOODAによる改善が出来なくなってしまいます。
O(Orient)でやること
O(Observe)できちんと状況を観察できたのであれば、次は得られたデータを分析し取るべき一手を考える必要があります。
O(Observe)の段階で人手不足で現場に負担がかかっていることが分かったのであれば、人員を補強して一人当たりの仕事の負担を減らしていく。
ライバルが自社よりもいい商品を販売しそうであれば、それに負けない商品の開発計画を立てるなどです。
この段階では具体的に何をやるかを決める必要はありません。
あくまでも方針を決めるのがO(Orient)の段階であり、そこから先を決めるのは次の段階でやることになるからです。
D(Decide)でやること
D(Decide)では意思決定をします。
O(Orient)で次の一手をどうするべきかの方針を決めました。
そこで、D(Decide)の段階では、この方針に従ってどのような行動を取るのかを具体的に決めていきます。
これだけを聞くと「PDCAのP(Plan)とほとんど変わらないのではないか」と思うかもしれません。
しかし、OODAのD(Decide)で求められるのはあくまでも意思決定。
「この方針に従い、この行動を取るようにしよう」ということを決める段階なので、そこまで細かく計画を立てる必要はありません。
PDCAのP(Plan)のようにしっかりと計画を立てて、次のD(Do)で細分化して仕事をするなどということを、OODAのD(Decide)の段階では行いません。
OODAのDで求められるのは迅速な意思決定であるからです。
A(Act)でやること
A(Act)ではD(Decide)で決めた意思決定に従い行動を起こします。
ここで注意したいのがPDCAのA(Act、Action)と混同しないことです。
PDCAのA(Act、Action)は改善点を次の計画に盛り込むための準備をするものであり、実際に計画を実行するのはD(Do)の段階で行います。
しかし、OODAのA(Act)ではDの意思決定に従った計画を実行する段階となります。
何かを行動するにはそれなりに段取りを決めて行動することにもなるのですが、一番注目するべき点は、意思決定で決まった方針や計画に従って行動することで何かしらの結果が出るという点です。
成功や失敗ということだけではありません。
どれだけ仕事が改善され、どれだけ実績が改善されたかという数値的なデータも出てくるはずです。
この結果も次のO(Observe)に利用して、OODAループを回していくわけです。
OODAとPDCAのどちらが優れているかはケースバイケースである
OODAでは綿密な計画を立てる必要がないので、確かに最初のOから最後のAに至るまでの期間が短くて済みます。
そして、OODAでも1度のループで終わらせることではなく、何度もループを回すことで仕事の改善が出来ていく点もPDCAと似ています。
OODAのDで計画を立てますが、PDCAのPほど細かく計画を立てる必要がありません。
直感で決めるイメージが強く、意思決定に不足している部分を仮説などで補うと言った感じで、とにかく迅速に決めることが求められます。
一方でPDCAのPではAで出てきた改善点を活かした計画をしっかりと立てて、それにしたがって計画を実行します。
仕事には様々なものがあるため、PDCAとOODAのどちらの方がいいというのは一概には言えません。
副業で一人で仕事をする場合や飲食店の経営などの経営戦略はOODAの方がよさそうですし、システムエンジニアやプログラマーについてはPDCAの方が合っている気がします。
そのため、PDCAとOODAでどちらが意思決定者が関わる仕事に合っているかをきちんと判断し、適切な方、あるいは両方を織り交ぜながら取り入れていくというのが最もいい方法になると思います。
OODAもPDCAも仕事を改善していく手法という意味では共通していますが、特徴や改善のやり方が大きく異なります。
OODAは意思決定者が素早く判断を下し、意思決定者が行った意思決定を実際に仕事をする人が実行して、次のOの観察の段階に取り入れる。
また、D(Decide)→O(Observe)という戻りが可能であることがPDCAとは大きく異なる点です。
PDCAでは戻りが発生することはほとんどありませんが、OODAでは意思決定のための情報が不足していると思った場合は、もう一度観察からやり直して情報を取得しなおすと言うことが柔軟にできるのです。
OODAは戻りを発生させても良く、必ずループを順番に辿っていかなくても成立する点が、PDCAとは大きく異なります。
OODAは素早く柔軟に適用できるのが大きなメリットですが、意思決定者の直感に依存する部分があり、どうしても意思決定者の実力で決定してしまう部分があります。
また、意思決定者が決めた方針や計画に従って行動しても失敗することが多く、確実性のある手法になるとは限りません。
しかし、とにかく観察(O)から行動(A)までのループが素早く回せるので、きちんと最後の行動(A)で出た結果を次のループに活かしていけるのであれば、仕事は改善していくことが出来ます。
一方でPDCAは改善点を出して問題を確実に潰していけるので、時間はかかりますが長期的に見ると有用な方法であると言えます。
OODAを採用するか、PDCAを採用するか、この判断基準は迅速に行動して改善を行っていくのか、時間がかかっても確実に業務改善を行っていくのか、改善のやり方の考えによって分かれてくることになるでしょう。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。