平成米騒動から学ぶべきこと

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平成米騒動から学ぶべきこと

平成の初期の頃に平成米騒動と呼ばれる出来事が起きました。

この騒動が起きた時は冷夏であり、稲がうまく育たず、米の収穫量が例年よりも大きく減ってしまったのです。

日本国内では混乱が起き、米の買い占めや売り惜しみが起き、一般人が国産米をなかなか買えない状態になりました。

全国的に凶作であり、米がかなり不足した年であり、上記のことが起きたため、米の輸入が行われました。

この平成米騒動にはいくつか注目するべきところがあり、平成米騒動とは何か?

そして、このことから何を学ばなければならないかをお話しします。


今回の話は一応お金の話に分類していますが、そこまでお金とは関係が強くない記事になっています。

お金や心の話ではありませんが、当時中学生の時に経験した自分がどうしても伝えたいこと。

そう理解して記事を読んでいただけると幸いです。

平成米騒動とは何か?

平成米騒動は1993年に起きた米の大凶作が原因で、日本中が米不足で混乱した出来事です。

1993年は冷夏であり、梅雨明けの宣言が発表されず、この年の東京の夏の最高気温が23℃の予報が出ていたのが印象に残っています。

この年の夏は晴天も少なく、とにかく夏らしくない夏という感じでした。

日照不足と低温により稲がうまく育たず、例年よりもかなり米の収穫量が減ってしまいました。

米が不足したことにより、スーパーの棚から米が消え、不正な取引が横行しました。

米の売り惜しみと買い占め、闇取引。

一般の国民が米を手に入れることが困難になったのです。


そして、この米不足を重く受け止めた政府はアメリカのカリフォルニア、中国、タイなどから米を輸入することに決めました。

中国とカリフォルニアの米は日本で食べられている米と同じジャポニカ米であったのですが、輸入量がうまくそろわずに、自分の地域では店頭で見ることがありませんでした。

そして、タイ米ですが、今のジャスミンライスのような感じではなく、タイも自国消費の米を輸出に回す余裕がなく加工用の米しか用意できませんでした。

タイの米はインディカ米という長粒種の米であり、一応炊飯器でも炊けるのですが、ポップコーンのような香りがして、日本の米とは性質が異なります(インドやパキスタンなどで採れるバスマティライスほどパラパラしておらず、ある程度粘りがあります)。

今でこそタイ米は評価されていますが、当時は米を加工して食べることもなく、グリーンカレーやカオマンガイといったタイ料理も平成米騒動が起きた当時は一般的に広まっていませんでした。

普通に炊飯器で炊いて食べても日本人の口に合わなかっため、タイ米は見向きもされず、日本米との抱き合わせ販売に使われたり、日本米とブレンドしてブレンド米として売られるという、今考えたらあり得ない売り方で売られることになったのです。

それでもタイ米は売れ残り、タイ米を破棄する人も出たわけです。

このことに対して日本はタイ人からの怒りを買いました。

せっかく米を輸出して支援したというのもありますが、米を輸出したことによってタイでも米不足が起きて米の価格が高騰して混乱が起きたわけです。

普通に考えてせっかく支援した食料が廃棄されるのを知ると、あまりいい気持ちはしませんね。

もし日本が他国に食料を支援のために輸出して、その食料が捨てられたら同じように日本人から不満や怒りが出ると思います。


平成米騒動は翌年の国産の早場米が出ることで、収束することとなりました。

また、平成米騒動の年の翌年は米が豊作であったため、完全に米不足の混乱は収まったのです。

問題点1:プレ値、抱き合わせ、売り惜しみ

問題点1:プレ値、抱き合わせ、売り惜しみ

平成米騒動では今の品薄商品を販売するときと同じような現象が起きていました。

ウイスキーの需要が高い今、レアなウイスキーとそうではないウイスキーを抱き合わせて売るというのが普通に横行しています。

特に、サントリーのウイスキーがメーカー小売価格の倍以上の値段で売られること(つまりプレミアム価格での販売)、定価販売のウイスキーを買い占めて転売するということが普通に起きています。

平成米騒動の時の米の売り方も同じようなことが起きていたわけです。

それに加えて売る側が売り惜しみをしてなかなか米を売ってくれない。

そうれもそうでしょう。

もっと品薄になればもっと高価で売れるかもしれない。

今売ってしまうより、そのタイミングを狙って売った方が儲かる。

そんな考えを持つ商売人がいるのも当然です。


ちなみに今米騒動が起きるとどうなるのかを考えると・・・新型感染症が流行した最初の時にマスクが不足したことを思い出していただきたいのですが、まず転売ヤーの国産米の買い占めが一気に起こり、通常価格の何倍もの値段で売られることが懸念されます。

通常のスーパーやネット通販では軒並み国産米が売り切れ。

売り切れた国産米はラクマやメルカリ、Amazonで見かけるようになります。

当然ながら通常価格の何倍もの値段。

しかし、生活に必要なものなのでこの転売屋から買うしかなくなる。

もしくは小麦などの穀類やイモを主食にして耐えるしかなくなってくる。


マスクの転売を禁止した時のように、平成米騒動の時よりもしっかりと対策が求められるでしょう。

買い占めも制限するべきだと思いますが、転売する人は人を集め、集団で買っていくのであまり効果がありません。

なので、買ったその場で包装を開ける、など物理的に転売できないルールを設けて、それを守れない人には売らないなどという対策が必要になります。

まぁ、普通の人なら仕方ないと思うだけで、これで怒るのは転売屋くらいですので問題はないでしょう。

最も効果があるのは食品の転売を法律で禁止することであると思いますが・・・。

問題点2:捨てられたタイ米

問題2:捨てられたタイ米

平成米騒動の時に輸入されたタイ米は加工用の物でした。

しかし、当時はタイ米の食べ方を知る人はほとんどおらず、「そのまま食べるとまずいもの」としか認識されませんでした。

一応カレーにすれば食べられる、ピラフにすれば食べられるなどの情報は出回っていましたが、当時の日本人の米の食べ方にあまり合っていなかったようです。

そのため、タイ米は不人気で、抱き合わせのタイ米を捨てる人もいました。

今はフードロスに関してうるさい時代ですが、平成米騒動が起きた当時はこの考えは日本に浸透していませんでした。

ブレンド米にするという苦肉の策で何とか消費しようとしましたが、やはりブレンド米は不評で、おいしくないという声が多かったですね。


平成米騒動の米不足の時期にタイがせっかく融通してくれたタイ米を捨ててしまうというのは、非常に身勝手であり、タイ人に対して本当に申し訳ない行動だったと思います。

そんな中、日本人の口に合わない加工用のタイ米ではありましたが、セブンイレブンではタイ米を使った弁当を展開して頑張っていたそうです。

この頃のセブンイレブンはフードロスの言葉が一般的ではない当時も、何とかタイ米を消費しようと模索していたわけですね。

今後、平成米騒動と同じような米不足が起きてタイ米を輸入することになってタイ米を捨てるということが起きたら、今後タイは日本に米を輸出してくれなくなるかもしれません。

そのため、米不足で海外の米を食べるようになった時は、その米の特徴、調理法についてしっかりと調べて理解しておく必要があるでしょう。

一番問題になる行動が、せっかく他国が融通してくれた食べ物を捨てることです。

食べ物を粗末にするという問題でもあるのですが・・・他国が融通してくれた食べ物を捨てることは、その国に対して感謝の意を示すどころか「余計なお世話だ」と言っていることに等しいのです。

本来であれば余さず有効利用して「ありがとう、おかげで助かった」と言うのが食べ物の融通に協力してもらった側の礼儀だと思います。

個人レベルでも人間関係の悪化につながりますが、国レベルでこれをやると関係悪化で不利益を出しかねないので慎重な行動を心掛けたいですね。

我々のほとんどは日本の国産米しか食べることがないと思いますが、予備知識として少なくともインディカ米がどんなものであるかということを知っておいた方がいいでしょう。

食べ方を間違わなければ決してインディカ米はまずい米ではありませんので・・・。


問題が起きた場合は、起きた問題に関してはなぜこのようなことが起きたのか?

再発防止策は何か?

これを考えるのが問題が起きた時の対策の基本です。

利用できるものをしっかり利用していく。

他国の支援は感謝して受け入れる。

これがしっかりできればタイ米の廃棄の問題は防げていたわけです。

今後平成米騒動と同じようなことが起きてタイから米を今よりも多く輸入することになった場合、フードロスを意識した取り組みとして以下のようなものがあると思います。

  • 泡盛の原料(もともと泡盛は特有の香りを出すためにタイ米を使用しています)として使用する
  • タイ米を使った弁当や料理をスーパーやコンビニで積極的に売り出す
  • 煎餅など、米菓子に使う米にタイ米を使用してみる
  • ライスヌードル、ライスペーパーの材料とし、積極的に消費を訴求していく
  • マスコミやSNSでタイ米の料理のし方を積極的に配信する
  • ブレンド米など、インディカ米のポテンシャルを損なう売り方をしない

他にも策がありそうですが、タイ米の消費はタイ米の特徴を正しく理解しておくことで、問題なく行えると思います。


平成米騒動が起きた時の問題点を解決し、同じようなことが今後起きた場合はうまく米不足を乗り越えていく。

何も学ばずに同じことを繰り返すのは愚か者がやることですので、日本人が愚か者と思われないように、今後平成米騒動と同じようなことが起きた場合は、平成米騒動の経験をうまく活かしてほしいと思います。

平成米騒動の時に生まれていなかった人は、一度平成米騒動について調べてみて、日本が米の凶作の時にこんな愚かなことをしていたことを勉強しておきましょう。

今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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