通常の投資では投資商品を購入した時の評価額と現在の評価額の差が含み益や含み損となるので、ギャンブル性は高くはありません。
しかし、世の中には投資商品の値動きの倍以上の値動きをするレバレッジ投資というものがあります。
レバレッジ投資では2倍、3倍の値動きにしたものが多いですが、それ以上の値動きをするものも存在します。
レバレッジをかけると元本の倍以上の賭け金を持っているかのような投資をすることが出来ますが、これが危険なのです。
レバレッジ投資は株式だけではなくFXなどでも可能で、高いレバレッジをかけることで大損をして貯蓄をほとんどなくしてしまったり、借金したりしてしまう人もいます。
借金してまで投資をするのは本末転倒であり、人生のダメな方向に向かうことになります。
レバレッジ投資は一獲千金を夢見たり、通常の投資よりも大きく勝ちたいという思いからやる人が多く、投資ではなく投機に分類される投資のやり方となります。
今回はまずレバレッジという言葉について説明し、レバレッジ投資の例を挙げ、初心者はやめておいた方がいいという話をしたいと思います。
レバレッジとは何か?
レバレッジは「てこの原理」のように、投資した商品の値動きを何倍もの大きさにすることで投資金額を大きく超える損益を発生させる投資手法です。
例えば2倍のレバレッジをかける投資を行うと、値上がりが5%の時に10%上がり、値下がりが10%の時に20%値下がるといった動きをします。
このように、値動きは元の投資商品よりも激しく変動するため、投資としての要素が弱くなり、投機としての要素が強くなります。
FXでは10万円投資して100万円投資した時と同じ値動きを実現出来たりしますが、これも当然のように危険であり、レバレッジをかけすぎるとロスカットと言って強制的に損失を決済させられることになります。
上昇相場には強いですが、上昇と下落が続いて横ばいになる場合や、下落相場には弱く、特に下落相場では損失が大きくなるため危険で、注意が必要です。
短期間で大きな利益を出そうとするためにレバレッジをかけた投資を行う人が居ますが、その人の多くは利益を出すどころか損失を出すため、資産運用としてレバレッジをかける投資をするのは誤りです。
投資で楽することやショートカットを狙うことはあってはなりません。
投資の利益は我慢料ともいわれています。
それ相応の努力をしないと投資で勝つことは出来ないのです。
レバレッジで有名な投資について
NASDAQの指数に連動する投資商品にレバレッジをかけた、通称レバナスというものが一時期流行しました。
レバナスは投資信託として売り出されており、「楽天レバレッジ NASDAQ-100」や「iFree レバレッジ NASDAQ 100」ではNASDAQ指数の2倍の動きをする投資商品となっています。
NASDAQ指数はコロナショック後から大きく値を上げて投資家界隈でにぎわいましたが、2022年に入り下降傾向になりました。
NASDAQ指数に連動するETFであるQQQも一時期は400ドルを超えていましたが、2022年時点は300ドル程度と25%も下落しています(2025年時点では、2023年から再び上昇し始めて最高値を更新しています)。
NASDAQ指数が上昇し続けていた頃は、レバナスに投資していた人で儲けが大きく出た人もいたようですが、2022年になり下落したことで損したという声が聞かれるようになってしまいました。
NASDAQ指数が25%ほど下落したということは、レバナスではもっと大きな割合で下落したということなので、損した人はNASDAQ指数に連動するETFであるQQQ保有者よりもかなりの大きな損失を出したと思います。
怖くて損切りしてしまった人もいるようで、2022年5月ごろはレバナスの投資家から悲鳴が聞かれるようになりました。
レバレッジの恐ろしさを簡単な値動きで解説してみる
投資初心者にはレバレッジ投資に手を出すのはやめておけと自分は言うことにしています。
レバレッジ投資には大きな問題があるからです。
例えば投資商品の評価額が以下の動きになったとしましょう。
100→80→60→90→99
上記では1か月後に20%下落、2か月後に25%下落、3か月後に50%上昇、4か月後に10%上昇としています。
実際の値動きではここまで極端に動くことは滅多にありませんが、説明のため少し極端な値動きにしてみました。
実際にはもっと細かい動きになりますが、簡単にするために1か月に一度評価額が変わるという仕様で考えてみます。
レバレッジをかけなければほぼ元通りの値に戻っていますが、2倍と3倍のレバレッジをかけるとどうなるでしょうか?
まずレバレッジ2倍のケースを考えると、レバレッジを2倍にすると以下の値動きとなります。
100→60→30→60→72
通常の2倍の値動きをするので、40%下落、50%下落、100%上昇、20%上昇となっています。
ここで気を付けたいのはレバレッジをかけた時は元の値に戻っていないことです。
レバレッジなしの場合はほぼ元通りで1%の損失ですが、レバレッジを2倍にすると28%の損失となってしまいました。
さらにレバレッジを3倍で計算してみましょう。
100→40→10→25→32.5
20%下落の3倍で60%下落→25%下落の3倍の75%下落→50%上昇の3倍の150%上昇、10%上昇の3倍の30%上昇となっています。
最終的に67.5%の大損という結果になってしまいました。
レバレッジ3倍にすると途中で投資額の9割を失っている局面があり、おそらくここで多くの人が心が折れると思います。
言葉だけでは分かりにくい部分もあるため、実際に表とグラフにしてみたものを見ながら考えてみましょう。
レバレッジ投資とそうではない投資の値動きを表とグラフにまとめると以下のようになります。


このようにレバレッジ投資は下落相場の値動きにとても弱く、レバレッジなしの投資成果を大きく下回ってしまうと、上昇してもリカバリーが遅れるため、損失を抱えてしまう期間が長くなります。
上昇相場であれば大きく利益が出るのですが、その反面でこんな危険性もあるということです。
個人的にレバレッジは投資ではなく投機であり、きちんと利益確定が出来る人や投資額を決めて投資できる人ではないと手を出すべきではないと思います。
レバレッジは2倍でも危険ですが、3倍以上だと初心者が手を出すと火傷することになるでしょう。
高値掴みをしてしまったら最悪で、投資額の大部分を失いかねません。
下手をすると投資額をすべて持って行かれる可能性もあります。
レバレッジの投資商品を長期投資の投資商品に選択することは絶対にやめてください。
投資額だけを失うだけだとまだマシですが、それ以上のお金が出ていくことになると、自分の生活さえ危ういものになってしまいます。
お金を豊かにするための投資が逆にお金を貧しくするための投資になってしまったら、後悔の念に悩まされるだけではなく自分自身の生活さえまともに出来ないものになってしまいます。
ですので、初心者にはレバレッジなしのインデックスファンドを買って保有し続けるという基本を守りつつ、レバレッジという投機には手を出さないことが重要です。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。