ああ、また会社で上司に叱られた。
褒められたことなんて一度もないのに。
そんな感じの人が世の中には存在します。
かく言う自分もかつてはそうでした。
何かをやらかすと叱られ、自分で頑張ったと思った時も「そのくらい出来て当たり前」と言われました。
こんな感じのことが続くと仕事をしているのがばかばかしくなります。
そして、「自分はそんなにダメな人なのか?」と思い始め、最後は「自分は本当にダメな人なんだ」と思うようになってしまいます。
なので、叱ることは大切ですが、否定するのではなくフォローをしないと、叱られた人は良くなっていくどころかどんどんダメになっていきます。
中には叱られても何とも思わない人もいますが、まじめな人ほどダメになりやすいので、そこをきちんと理解しておかなければなりません。
叱られると、自分を否定されたように感じ、失敗を怖がるようになる

叱られることはだfれも好きではないでしょう。
もし叱られることが好きな人がいればよほどのMでしょう。
普通の人は、叱られると失敗したことに対して恐怖を覚え、時には自分自身を否定されたかのように感じるからです。
叱られて自分自身を否定されたかのように感じてしまうと、自分に対する自信がなくなります。
なので、何かをする時に積極的になれず、失敗しないことばかりに頭が働いてしまい、それが原因でうまく行かずにまた次の失敗をしてしまいます。
そしてまた叱られる。
このようなことが続くと失敗に対してビクビクしながら仕事をしたり、自分に自信が持てなくなり、その気持ちが仕事の成果にも現れてしまいます。
また、心の状態が不安定となり、自分を追い込んでしまったり、場合によっては心の病を発症してしまうことにもなります。
これは叱られた人にとってマイナスとなるのはもちろん、会社にとってもマイナスでしかありません。
鞭で相手を打つと一つ傷が出来ます。
そして、何度も鞭で打つと、体中に傷が出来ます。
それでも働け働けと言って鞭を打つ。
これが本当に正しい部下のマネジメントといえるのでしょうか?
自分は間違ったマネジメントであると考えます。
以前働いていた会社の社長は「自分を追い込むことで得られるものがある」と言っていました。
これを聞いて自分は「ああ、バブル期世代の古い考えだな」と思いました。
叱られて自分が追い込まれることが続いても、そこから挽回できる人はごく一部の人です。
特にストレス耐性のない人に対しては言ってはいけないことで、お酒が飲めない人に「お酒を飲むとお酒に強くなるよ」と言うようなものです。
とんでもない暴論です。
そもそも、追い込まれた状態から挽回できる人はごく一部の人で、そういう人はそもそも叱られることがあまりありません。
叱られる人は不器用で、大人しく、誠実でまじめであるにもかかわらず、仕事が出来ない人です。
実際に自分がこのタイプの人なのですが、やはり仕事をうまくやりこなせないということは、叱られなくてもかなり自分の心に負担となってしまいます。
なので、そういう人に対しては叱りっぱなしで否定ばかりしていると、その人はどんどん自信を失い、だめになってしまいます。
もちろん、上司とその人の信頼関係は0に近づいていきます。
そして0やマイナスになると、その人は会社を退職してしまいます。
会社側は仕事が出来ない人が辞めてよかったと思うかもしれませんが、その考えがうまく扱えば大成する人の可能性を潰しているのです。
叱った後にフォローをすることの大切さ
部下を叱った後に部下をフォローできる上司はどれくらいいるでしょうか?
体感的には叱った後のフォローが出来る上司は、今まで当たってきた上司が悪かったからかもしれませんがほとんどいませんでした。
これらの上司はなぜ叱りっぱなしでフォローをしないのでしょうか?
おそらく面倒だからでしょう。
忙しくて自分の仕事を優先したいのかもしれません。
叱りっぱなしでフォローをしない上司は、自分のことで精一杯か自分のことしか考えられない人という印象があります。
今まで自分が厳しくされたからそれを部下にあえてやっている可能性もありますが、そのような上司はうまく部下を育てることが出来ません。
上司が部下だった頃と、今の部下は性質が大きく異なるからです。
上司が部下だった頃(昭和から平成の中盤頃)と、令和の部下を同じように扱うと、令和の部下は簡単に仕事を辞めてしまいます。
令和の部下は一部で厳しくしても付いてくる人もいますが、たいていの場合は厳しくすると会社に見切りをつけて辞めてしまいます。
精神論や根性論は通じず、気合で乗り切れという言葉が通用しないんです。
部下への指導は具体的なものでなければなりません。
根性論や精神論といった抽象的なものは令和の部下には受け入れられないのです。
だから、これからの時代はいくら自分の仕事が忙しくても、上司は部下を叱った後のフォローはきちんとしなければなりません。
叱った後に放置というのは絶対にやってはいけません。
叱った後にフォローをすることで、感情で叱ったわけではないこと、失敗がかなり損失の大きい失敗であること、期待していることなどを部下に伝えられます。
これがあるのとないのとでは、部下の上司に対する信頼のし方が大きく異なってきます。
信頼は貯金のように少しずつ溜まっていくもので、ある程度信頼が溜まると、少し無理を言っても部下は付いて来てくれるようになります。
信頼がない状態で部下にあれこれ要求しても、部下には伝わりません。
「何こいつ」と部下に思われ、こんな上司のもとでは働けないと考え、転職して会社を去っていくことでしょう。
このようなタイプの部下が少なければ良いのですが、多い場合は技術やノウハウの継承がうまくいかず、会社自体が傾いてしまう原因となります。
なので、叱る場合はお互いの納得がいくところまできちんとフォローしておいて、お互いのためになる叱り方をしなければなりません。
ただ怒鳴って言うことを聞かせようとするのはNGです。
また、部下の能力に見合っていないことを要求するのもNGです。
叱るということはお互いのためであるということ、そして、お互いのためになる叱り方をするのであれば、必ずフォローをしなければいけないことをきちんと理解しておかなければなりません。
部下へのフォローは部下に対してきちんと理解しておかないと出来ない

「フォローをすると言ってもいったい何をすればいいんだ」という上司は勉強不足です。
部下に対するマネジメント本は本屋や通販サイトでたくさん売ってありますが、一冊も目を通してないのでしょうか?
自分が正しいと思って何も学ばず、自分流で部下に接してはいませんでしょうか?
部下にどうやってフォローしてきちんと働いてもらうかを考えるのは上司の仕事です。
その仕事の内容が分からない時点で上司としては失格です。
トライ&エラーでもいいから、部下のマネジメントの基礎を勉強し、失敗しつつも自分の部下のマネジメントを改善しながら要領を得て部下をきちんとマネジメントできるかどうかが、上司が優秀かどうかのポイントとなります。
部下に対して何も分からないからフォローのし方が分からない。
部下の実力が分からないから頓珍漢な叱り方をして、叱りっぱなしにしてしまう。
こういう人が上司になると部下は大変苦労します。
苦労するだけで済めばいいのですが、部下が次々に辞めていって気付けば自分の下に部下がいないという状態になることもあります。
なので、こういうタイプの人は改善の見込みがなければ上司にならずに現場で仕事をさせておけばいいのです。
部下をフォローをするためにやっておくべきことはいくつかあります。
まずは部下を一人一人しっかりと観察しておくこと。
どんなことが得意でどんなことが苦手なのか?
きちんと把握しておく必要があります。
これがなければ部下一人一人に適切なフォローが出来ないので大事なことです。
そして部下ときちんとコミュニケーションをとっておくこと。
仕事中の雑談はNGという職場がありますが、自分はある程度は雑談をして場を和ませて上司と部下がコミュニケーションがとりやすい環境を作っておくことが大切であると考えています。
また、部下から上司への一方的なコミュニケーションは上司にとって受け身で良くないため、上司の方から部下に話しかけて、趣味やどんなことに興味があるのか雑談をする。
そうすることで、部下の扱い方が分かり、叱った後にどうフォローすればいいかが分かってくるはずです。
さらにもう一つ。
自分と同じレベルの仕事を部下に求めないこと。
仕事が出来る人が部下を持つと、自分と同じクオリティの仕事を部下がしないと納得しない人がいます。
このタイプの上司も、下で働く部下はとても苦労します。
こういう人は部下と同じ目線で話が出来ないんですね。
だから、なかなか部下の働きぶりを認めないし、ただ叱るだけになってしまう。
これでは誰もその上司に付いていきたいとは思いません。
なので、上司が部下と同じ目線まで下げてコミュニケーションを取ったり、自分の仕事と部下の仕事が同じクオリティでなくてもその部下の仕事のクオリティがアップしたら褒めたりするべきです。
例えると大人と子供の会話です。
大人と子供が会話をする時、大人がしゃがんで子供と同じ目線にして話をしますよね。
仕事も同じなんです。
仕事が出来る上司ほど、仕事が出来ない部下と同じ目線に合わせて話をすることが大切です。
そうすれば何をフォローするべきか分かってきますし、叱りっぱなしで部下の自信を奪うことはありません。
部下と上司のコミュニケーションは一方的であってはなりません。
多方向のコミュニケーションが必要です。
部下へのフォローは上司から部下へのコミュニケーションの一つ。
これがないと上司と部下はいい関係を築くことが出来ません。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。