「なんで〇〇しなかったの?」は上司が部下を叱る時に使われる言葉の一つです。
しかし、この「なんで〇〇しなかったの?」と言う言葉は部下に対しては強すぎる言葉で、下手をすると部下を委縮させてしまい、部下のやる気を奪ってしまうことにもなります。
なので、適切な言葉に置き換えて部下の行いを正していくことが大切になります。
部下が何かをやらかした時に感情的に「なんで〇〇しなかったの?」と言ってしまいがちですが、部下には部下なりの事情があります。
それをうまく汲み取って是正していくのが上司の仕事です。
叱りつけて上から抑え込むことが上司の仕事だと思っているようであれば、まともな部下の育成は出来ないと思った方が良いでしょう。
目次
「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」は部下を委縮させる危険な言葉

「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」は部下に対して放つには強すぎる言葉です。
部下に対して強すぎる言葉を放つと、部下は委縮してしまいます。
それに、「なんで〇〇しなかったの?」「なんで〇〇したの?」の後は何を答えてもその後に説教が始まりますね。
注意するのに3分あれば済むことを、10分も20分もかけて行う。
これで部下に何かしらのプラスの効果があればいいのですが、このように部下を委縮させる叱り方と言うのは全くプラスになることなく、むしろ逆効果になることが多いです。
部下を委縮させると一つ大きな問題が生まれてしまいます。
それは、失敗を怖がることで本来持っている能力を発揮できないようになることです。
失敗を怖がるということは、仕事に過度なプレッシャーを持ってしまうことでもあります。
そのプレッシャーから新たにミスを生み、また「なんで〇〇しなかったの?」と叱られることで余計に部下の心は委縮してしまいます。
そして、仕事に対して自信を無くしてしまい、無難に仕事をやるようになり、挑戦などのリスクを避けるようになってしまいます。
最悪なのが、失敗を隠蔽してしまうことですね。
委縮した心を持つ部下は失敗をしても叱られるのが嫌になっているので、失敗をなかったこととして隠そうとしてしまうことがあります。
その場で報告すると大きな問題にならないことであっても、後で発覚すると会社の信用にかかわるような事態になることがあります。
なので、部下が失敗した時は「なんで〇〇しなかったの?」「なんで〇〇したの?」と言うのではなく、適切な言葉に置き換えるようにしましょう。
「なんで〇〇しなかったの?」「なんで〇〇したの?」は部下の判断を頭から否定するという意味でも危険な言葉です。
これらの言葉を部下に投げかけると、部下はどんどん考えなくなってしまうので、部下に育ってもらいたければ絶対に使ってはいけない言葉です。
「なんで〇〇しなかったの?」「なんで〇〇したの?」はパワハラである

「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」と言う言葉は強すぎる言葉であることをお話ししました。
強すぎる言葉であるということは、部下に対して強い圧力をかけること、つまりパワハラであると解釈できます。
特に心が繊細な人に対しては注意が必要で、心が繊細であれば普通の人以上に心のダメージを受けてしまいます。
心が繊細な部下の場合、「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」と言われ続けると、心を病んでしまうことがあります。
そして休職が必要になった時、これらの言葉を発した上司はどう責任を取るのでしょうか?
おそらく、この手の上司はプライドが高いので、部下に対して責任を取るどころか謝罪することすらしないでしょう。
最悪なのは「あいつ根性ねえなぁ」と、心の病を患った部下のせいにしてしまうことです。
今後気を付けようという考えを持つ上司は一握りで、ほとんどの上司はそのままの態度で別の部下にも接し続ける。
そのため、退職者を続出させたり、求職者を出したりして会社に損失を出してしまうわけです。
どういうわけか、この手の上司は居眠りの社員よりも質が悪いのですが、その上司が下手に仕事が出来たりすると会社は何らかの処分を科すことなく、お咎めなしにすることが多いです。
ただ、そのような会社には厳しい未来が待っています。
上司の問題で退職になると、会社の口コミサイトでそのことが書かれ、転職、就職を考える人に情報として伝わるようになります。
問題の上司の下には部下がいなくなり、新しい社員も入って来なくなる。
こうして会社の人手不足は起きてしまうのです。
今は社員を厳しく叩き上げて育てていく時代ではありません。
氷河期世代までは失敗した時に「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」と追い詰めても付いて来てくれる人がいましたが、ミレニアル世代やZ世代はほぼ付いて来てくれないですね。
特にZ世代は厳しく叩き上げられるという経験を大人になるまで受けていない人が多く、生まれてからずっと「失われた〇〇年」という不景気の時代を経験してきた人たちです。
会社が社員を簡単に切る様子も経験している人が多いため、会社に対しての信頼や忠誠がなく、自分の生き方、自分らしく生きるということに全力で生きています。
下手に歳食ったおじさんよりも金融リテラシーも高い人もいて、新入社員でも給料の中からつみたて投資をしている人もいます。
なので、やり方を押し付けられたり、自分がやりたいことが出来ないことはとても窮屈に感じるわけです。
厳しく育てられたことに染まった氷河期世代、そしてバブル世代、団塊世代は「俺がお前の歳の頃はもっと大変だった」と言ったりしますが、それはその人のただの経験であって、今の人がやるべき経験かと考えると、違うのではないでしょうか?
今の人の価値観を尊重せず、自分の価値観を押し付けて仕事をさせる方法は今は通用しません。
体罰が問題視されるのと同じように、今の働き方と氷河期世代以降の働き方は違うのです。
「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」は適切な言葉に言い換える
今の時代では強すぎる言葉となってしまった「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」という言葉は、適切な言葉に置き換える必要があります。
失敗したのを部下のせいにするだけでは何も問題は解決しません。
上司の監督責任でもあるわけです。
なのに、部下に対してだけ責任を問うというのは実におかしなことです。
なるべく部下に視線を下げ、まずは部下の話を聞きましょう。
「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」という言葉を「どんな考えでそう判断したの?」と置き換えて、なるべく優しく聞くようにします。
部下がどんな考えでどんな判断をして行動を起こしたか、まずはヒアリングをすることが大切です。
ヒアリングの時点で強い言葉を浴びせてしまうと、部下は委縮して何も話せなくなってしまいます。
いきなり叱りつけるなんて言語道断です。
部下が判断して行動したことは正しいことと間違っていることの両方を含んでいることもあります。
なので、正しい行動をした部分はきちんと評価をし、誤っているところは「ここが良くなかったね」と言って、どうすればいいかを部下に説明するわけです。
自分の行動を頭から否定されて気分がいい人はいません。
もし自分の行動を頭から否定してくる人が上司であれば、上司への不信感につながります。
ですので、きちんと話を聞き、間違ったところを訂正する。
このことがとても大切になってくるのです。
部下に対して親身になって接するとその気持ちは部下に伝わります。
そして、「ここまでは合っていたけどここは間違っていた。次から気を付けよう」と言う気持ちになり、部下もいい方向へ変わってくれて、成長を重ね、活躍できる社員に変わっていくのです。
上司の方が態度を改めるというのはとても大切なことで、何か問題が起きた時に犯人探しをして、見つけた犯人をつるし上げるような上司は無能であると断言できます。
仕事が出来ようが、出来まいが、関係ありません。
「上司として」あるいは「人の上に立つ人として」無能であるのです。
なぜならば、その上司は人を育てるという意味で会社の役に立っていない。
上司として役に立たないのであれば、ずっと現場仕事をさせておけばいいのです。
そして、仕事は出来なくても、人を育てるのがうまい人を上司として立てておけばよい。
部下のミスに対して適切な対応が出来ることは、上司としての能力の向上にもなりますし、部下と信頼関係をうまく築くことも出来ます。
仕事で必要なのはスキルやノウハウだけではありません。
人間関係と言うのがものすごく大切な要素になるのです。
まずは部下と上司の信頼関係を築くことが優先。
そこから上司が持っているスキルやノウハウを伝えていけば、部下はうまく育ちます。
信頼関係を築く努力をせずに「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」と部下を責めても部下は育ちません。
今はそんなマネジメントで付いてくるタイプの部下ではないからです。
悪いと思ったら上司にもためらいなく意見を言ってくるような部下であれば、「ああ、こいつは話にならんな」と思い、信頼関係は0どころかマイナスまで落ち込むことでしょう。
そして、「この上司には付いて行ってはいけない」と部下が考え、会社を退職してしまうのです。
ですので、まずは信頼を築くこと。
ただ部下に厳しくすればいいという考えは捨ててください。
部下に厳しくしようとする人が「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」という言葉を使いがちですが、部下は上司の思い通りに行動しないことは多々あります。
そこに怒りを感じず、冷静に間違いを正していくことが大切なのです。
良く勘違いしている人がいますが、上司は部下より偉いわけではありません。
上司と部下の違いは責任の重さの違いです。
ただそれだけなんです。
上司は部下をうまく動かしてチーム全体としての成果を上げるのが仕事、部下は担当した仕事をしっかりとこなし、チーム全体の成果に貢献するのが仕事です。
そこを勘違いして上司側が自分が偉いと思ってしまうと、「なんで〇〇しなかったの?」、「なんで〇〇したの?」という部下を責めて追い詰める言葉を使ってしまいがちなので、きちんと上司としてあるべき姿は何なのかを考え、叱る時はきつい言葉を適切な言葉に置き換えて、部下を励まして、部下のやる気を出せるような行動や言動を取るようにしましょう。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。