派遣社員の特定行為は違法であるが、派遣の業界で当たり前のように行われている

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派遣社員の特定行為は違法であるが、派遣の業界で当たり前のように行われている

今回は派遣社員の特定行為についてお話しします。

派遣社員の特定行為は違法行為でありながら、派遣の業界では当たり前のように起きます。

例えば、派遣先会社の担当者との顔合わせの面談で、普通に「見送り」になります。

特にIT業界では無法地帯であり、努力義務であることをいいことに好き勝手やっている状態です。

派遣社員の特定行為とはいったい何なのか?

派遣社員の特定行為とは、派遣先が派遣される社員を選ぶことです。

つまり、派遣先の会社が選考を行うことです。

本来であれば派遣元の会社の社員と派遣先の会社の担当者との面談は、派遣元の会社の社員が派遣先の会社の担当者から業務の説明を聞き、その内容をもとに派遣元の会社がその社員が派遣先の会社で働くのが適切であるかを検討するというのが、正しい流れです。

しかし、現実ではそのような面談をしてくれるような会社はほぼ皆無です。

「面談で見送りになった。」

これは普通に派遣元会社の営業から派遣される予定の社員に聞かされる言葉であり、特にIT業界では面談が実質の面接行為となっていることがほとんどです。

そのため、年齢によって派遣先がなかなか決まらなくなったり、他の会社の面談者と比較して決めるというあり得ない行為が平然と行われているのです。

派遣社員の特定行為に該当するのはどんなものがあるか

派遣社員の特定行為に該当するのはどんなものがあるか

派遣社員の特定行為に該当する(あるいは該当する可能性がある)のはどんなものがあるか、見てみましょう。

  • 複数の派遣元の会社の社員と面談を行い、その結果から派遣先が派遣元の会社を選ぶ
  • 筆記試験、適性検査を行う
  • 面談の場で、一人を募集しているのに複数人と同時で面談を受けさせる
  • 「結果は追って連絡します」と、派遣先の会社が派遣元の社員を選別するかのようなことを言う
  • 面談のことを「面接」と言う
  • 面談の場で、派遣元の社員の氏名、年齢を知り、それを理由に受け入れを断る
  • 面談の場で、派遣元の社員の質問の受け答えを理由に受け入れを断る
  • 面談の場で、志望動機等を答えさせる
  • 面談の場で、プライバシーについて質問する

これ以外にもケースはあると思いますが、要は面談の場で派遣先の会社が上から目線で、派遣元の社員を品定めすることがNGとなるわけです。

ただし、派遣社員から正社員に登用予定になる紹介予定派遣の場合はこの限りではなく、派遣先の会社が選考を行ってよいことになっています。

IT業界での派遣での面談でのやり取りの方法

IT業界での派遣の面談は以下の順序で行われます。

  • 派遣元会社の社員による自己紹介、スキル説明(派遣元会社の営業が同行)
  • 派遣先会社の担当者による業務内容の説明(ここは自己紹介と前後することがあります)
  • 派遣先会社の担当者からの質疑応答
  • 派遣元社員からの質疑応答
  • 派遣元会社の社員が退場し、派遣元会社の営業と派遣先会社の担当者との話し合い
  • 後日結果報告

これが1度で済むならまだ良いのですが、商流が深いとさらに上の会社と面談があったりして、案件に参画するだけでもとても面倒なことをやらされます。

なので、IT業界での派遣は立場が弱いと、面談、面談、また面談という感じになってしまい、派遣元会社にいる技術者は面談で見送りになり続けると「何のためにこの会社にいるのだろうか?」と思ってしまうことになります。

しかも、IT業界の正社員型派遣はさらに面倒なことがあり、営業力が弱いところだと案件を選ぶことすら出来ず、やりたくもない案件を営業が取ってきてその面談をやらされるというとても嫌なことをやらされます。

本来であれば、派遣会社の営業というのは、派遣先会社とスキルシートなどを通じて派遣する社員のミスマッチが無いかを確認し、それにより派遣する社員を紹介し、面談の場で派遣される予定の社員に最終確認をさせる(当然派遣先の会社には見送りとする権利はなく、派遣元の会社の社員がその派遣先に行くかどうかを判断する)のが仕事です。

また、面談中も派遣先の会社が派遣社員の特定行為を行わないように監視する役割が派遣元の会社の営業にはあるのです。


ただ、現実的には派遣元の会社の営業の立場は弱く、派遣先の会社の言いなりになっている場合が多く、それが「ITで派遣はやめておいた方がいい」と言われている理由でもあります。

以下の記事の終盤でも正社員型派遣の違法性について触れていますが、実際に自分が正社員型派遣で仕事をして様々な黒いものを見せられてきました。

そのため、「ITで派遣はやめた方がいい」、「正社員型派遣はやめた方がいい」という声に自分も賛同しているのです。

派遣社員の特定行為はあったほうがいい? それっておたくにとってだけ都合の良い感想ですよね?

派遣社員の特定行為はあったほうがいい? それっておたくにとってだけ都合の良い感想ですよね?

派遣社員の特定行為は派遣先の会社からすると、派遣社員を使う上でミスマッチを防ぐことが出来て都合がいいため、派遣社員の特定行為の正当化について、派遣社員を使う会社から声が上がっているようです。

そのため、現状では努力義務でとどまり、明確な罰則がないという状態になっています(通報があったとしても是正勧告くらいで、懲役や罰金の対象ではありません)。

しかし、派遣元の会社の社員にとって派遣社員の特定行為は、派遣先の会社での勤務を制限する行為であり、ただでさえ弱い立場の派遣元の会社の社員の立場をさらに弱くしてしまう、とても厄介なものになっています。

派遣社員の特定行為があると、そこで働くだけのスキルや能力が十分にあるのに、面談の受け答えだけで派遣先の会社が勝手な判断をして、その人に対して派遣社員としての就労の機会を奪ってしまうことになるのです。

ですので、派遣先の会社による派遣社員の特定行為はかなり悪質で、もっと厳罰化してもいいくらいだと個人的に思っています。


人を集めるだけ集めてその人たちを客先に派遣して儲ける会社が乱立しているのは異常であり、どこかで亀裂が生じて正社員雇用に回帰する時が来るのではないかと自分は予想しています。

休暇日数や残業時間で釣って人を集める正社員型派遣の会社も悪ですが、もっと悪いのは違法行為か違法すれすれの行為をして派遣会社に人材を競わせている派遣先の会社ではないかと思います。

派遣社員を人と見ずに時間とお金と見なし、好きに契約を切ることが出来る。

派遣社員を使う会社の考え方ってそういうものなのです。

一次的なしのぎのために人材を確保し、用が済んだらポイ捨てする。

こんな働き方が成り立って良い理由はありません。

それに加えて自分たちでいい人材を選びたいって、派遣社員を何と思っているのかと憤りを感じずにはいられません。

こんなことがまかり通っているため、派遣元の社員は面談の練習をしたり、何度も面談を受けて落ちたりして、無駄に技術を磨くべき時間を浪費してしまうことになるんです。

だから、派遣社員の特定行為は、実際にこの立場で働いたことのある自分の観点ではもっと厳罰化し刑事罰や罰金刑を設け、本来あるべき健全な労働者派遣の形に持って行く必要があると思います。

自分は派遣業界から足を洗うつもりですが、いくら正社員型派遣であっても派遣社員で働くということは、派遣先の限りなくグレーに近いルールに従って働くことになると、覚悟した方がいいでしょう。

派遣業界で働いていて心に痛みがある場合は、その痛みを感じなくなる前にさっさと抜け出したほうが良いですよ。

痛みを感じなくなると派遣先、派遣元の2社の奴隷と化しますので。

今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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