タルムードから学ぶお金の話9 「キツネと葡萄畑」の話はリスクを取り過ぎることへの警告とその回避方法を考えさせられる話

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タルムードから学ぶお金の話9 「キツネと葡萄畑」の話はリスクを取り過ぎることへの警告とその回避方法を考えさせられる話

今回は、『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』より、「キツネと葡萄畑」の話を紹介します。

キツネと葡萄と言えば、キツネが木になっている葡萄が取れずに「あの葡萄は酸っぱいんだ」と言う、酸っぱい葡萄の話を思い浮かべる人が多いと思いますが、今回紹介する話はキツネは葡萄を食べることが出来ます。

しかし、葡萄を食べ終わった後にある問題に直面することになります。

この問題をどう解決するべきなのか?

また、どう解釈するべきか?

ひっかけ問題のような話ではありますが、例によって話の内容から紹介します。

「キツネと葡萄畑」の話の内容

可愛いキツネ

ある日キツネが葡萄畑のそばを通りかかりました。

おいしそうな葡萄が垂れ下がっていて畑に入ろうとしますが、キツネは太っていて柵の隙間を通って中に入ることが出来ませんでした。

キツネは食べることを我慢してお腹がぺしゃんこの状態にし、フラフラになりながら葡萄畑の柵をすり抜け、畑の中に入ります。

キツネはあまりの葡萄のおいしさに食べ過ぎてしまいます。

これ以上食べきれないくらいまで食べ続け、畑の葡萄をすべて食べつくしてしまいます。

ハッと我に返ったキツネは、パンパンになったお腹では柵をすり抜けて畑から出られないことに気が付きます。

そこでキツネは考えて2つの案を出しました。

1つめは、苦しいけど食べたブドウをすべて吐き出してお腹をぺしゃんこにして柵を抜けて畑から出る

2つめは、猟師に見つからないように危険を冒して畑の中にとどまり、ブドウの木の間に身を隠して入った時と同じように痩せるのを待つ

さて、キツネはどちらの案を選んだのでしょうか?

キツネは最後の2択はどちらを選ぶべきか?

キツネが最後に出した2択は、どちらを選べばいいというものではなさそうです。

1つめの案は、折角葡萄を食べたのに吐き出してしまうと、今まで食べたものが全て無駄になってしまいます。

2つめの案は、猟師に見つかって撃たれるというかなりの危険があり、食べた葡萄が消化され、さらに痩せて元通りになるまでずっと身を隠さなければなりません。

これはかなりリスクの高い行動です。

なので、1つめの案を選んでも2つめの案を選んでも正解とは言えなさそうです。

どちらを選べと言われれば2つ目の案を選ぶ人が多い(自分もそうでした)と予想されますが、やはりせっかく得たものは手放したくないというのが心理的にあるのでしょう。

1つめの案は損切りしてリスクから逃れる

2つめの案はホールドしてリスクを抱えつつ待つ

こう考えると分かりやすいかもしれません。

しかし、キツネが置かれた状況はインデックス運用の投資信託を保有していつ状態ではなく、ハイリスクの手数料の高い投資信託を持っている状況です。

2つめの案が正しく、待つことで状況が回復するという保証はありません。

そもそもキツネは満腹まで食べるべきではなかった

キツネは1つめの案と2つめの案を考えた時点でリスクを取り過ぎて苦しい状況になっています。

そもそもキツネは葡萄畑から出られるように葡萄をほどほどに食べるべきでした。

また、満腹にしたければ畑の外でリスなどの他の動物に頼んで報酬を支払って葡萄を取ってくるようにお願いをすればよかったのです。

そして畑の外で葡萄を満腹まで食べればよかったという考え方も出来ます。


リスクをほどほどにしてリターンもほどほどにする。

お金をかけて他人にリスクを移転する。

この考えも時には必要です。


更に考えてみましょう。

リスにブドウを取りに行かせることが知れ渡ると、他のキツネたちも同じことをするかもしれません。

つまり、競合が参入してくる可能性があります。

この競合に勝つにはどうしたらいいでしょうか?

報酬を増やす、他の動物や鳥などを使うことで差別化する、競合のキツネたちと話し合いみんなで同じ量の葡萄を分け合う、別の葡萄畑を見つけてそこで動物を使って取りに行かせる、案はいろいろと浮かんでくると思います。

本著では鳥に模様で伝えて葡萄を取りに行かせ、自分だけ違う模様にし、葡萄を取ってきたら他のキツネより美味しい実を与える。

模様は他のキツネにばれないように鳥にこっそり教えるというところまで書いてありましたが、これを子供に考えさせるというのはビジネスモデルを考えさせる内容であり、ユダヤ人のお金の教育は日本の教育レベルをはるかに超えていると思いました。


なお、どうしてもキツネがだれにも頼らず畑の中の葡萄を食べたければ答えはシンプルです。

葡萄を取って柵の外に放り投げ巣に持ち帰って食べればいいのです。

ただし、他の動物やキツネに見つからないように工夫は必要でしょうが・・・。

ここで他の動物やキツネに見つかると葡萄は独り占めできなくなります。

まとめ

「キツネと葡萄畑」の話、個人的にはタルムードの話の中でもお気に入りの話の一つです。

シンプルでわかりやすく、リスクの取り方だけではなく、ビジネスモデルなど考えるべきところが多いからです。

ユダヤ人の親は子供にこの話を聞かせて、1つめの案を選んでも2つめの案を選んでも正解とせず、さらに考えさせるそうです。

日本人であれば1つめの案と2つめの案のどちらかを選ぶだけで満足しそうですが、さらに深く考えることをユダヤ人の親は子供に求めます。

子供は知恵を振り絞り案を出しますが、そこからさらに考える。

これを繰り返すことでようやく親が認めてくれる。

そこまでの深さがあるのが「キツネと葡萄畑」の話なのです。


この話を最初に聞いただけで「キツネは適正なリスクを取るべきだった」ということが分かった人はかなりマネーリテラシーの高い人なのかもしれません。

更に考えを深め、自分だけの案を出してキツネがどうすればよかったか、考えを突き詰めてみてはどうでしょうか?


ちなみに犬にブドウを食べさせることは犬にとって有害なのでやってはいけません。

なので、キツネが葡萄を食べて大丈夫なのかという生物学的な考察をする人もいたかもしれません。

しかし、この話は物語なのでとりあえず生物学的な考えは置いて考えて欲しいと思います。

「キツネと葡萄畑」の話を最初に聞いて2つの案のうちのいずれかを選んで終わった人は、もう一度考えてみて欲しいと思います。

考えて案を出すこと、そして案を突き詰めることがこの話を聞く意味になります。

今回のお話は以上となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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