今回は良い上司は部下の長所が何かを聞かれてもきちんと答えられるという話をします。
良い上司というのは部下の良い所も悪い所も両方見ています。
だから、何が部下の長所なのかを聞かれてもきちんと答えられるのです。
部下の長所を一つ言えるくらいであればまだ部下をうまく把握できていません。
部下の長所を三つ以上言えるくらいであれば、部下ときちんと信頼関係を結び、部下の良い所をきちんと理解している状態であると思います。
目次
部下を減点方式で見る上司は残念な上司である
上司の中には、部下に完璧を求め、少しでも足りないところがあると叱責する人がいます。
しかし、それでは部下の長所なんてわかりません。
仕事を完璧にして当たり前だと思っているのですから。
逆に短所は簡単に言えるわけです。
「あいつはトロい」、「あいつは根性がない」、「あいつは体力がない」などと、こんな感じで部下を否定する言葉をためらうことなく言うことが出来ます。
でも、こういう上司って性格が悪いと思いませんか?
部下の長所が分からず短所がたくさん言える人というのは個人的に人として軽蔑します。
もちろん自分はこういう人の下では働きたいと思いませんし、こういう人の下で働く部下は大変な思いをします。
モラハラ、パワハラが問題になる前までは通用していたかもしれませんが、今の時代に部下の欠点しか見えずに減点方式で評価する上司は、部下からの信頼をなくし、上司としての成果を上げることが出来なくなってしまいます。
部下に対して一律のマネジメントをしても長所は見えてこない
どんな部下に対しても同じようなマネジメントで管理しよう当する上司がいます。
しかし、この行動は部下が何か少しはみ出たことをすると注意することとなり、部下の個性をつぶしてしまうことになります。
どんな部下に対しても一律のマネジメントを行う場合は、部下はすべて同じような人であると考えてマネジメントを行うわけです。
それぞれの人の長所を答えろと言われても、一人一人の状況や性格を把握していないので、なかなか言うことが出来ないでしょう。
他の人よりも目立つ人の特徴は答えられると思いますが、それは他の人よりもすごく仕事が出来る人か、他の人よりも変わった人か、他の人より仕事が出来ない人のいずれかになります。
こういう人は目立つので確かに長所や短所は答えられます。
でも、ただそれだけで終わることが多いのです。
あまり目立たない普通の人の長所が答えられないのです。
部下の長所が言えない上司は部下との向き合う姿勢が足りていない
部下の長所が言えない上司は、部下ときちんと向き合って接していないことが多いです。
一人で百人の部下を抱えているのであればともかく、一人で十人くらいの部下を抱えている程度であれば、それぞれの人の個性は把握できると思います。
しかし、それが出来ていないとなると、それは上司の怠慢であると言わざるを得ません。
どんな性格でどんな長所があり、どんな短所がある。
これはきちんと部下と向き合わないと正確に分からないのです。
こんな仕事をしているからこんな性格なんだろう・・・。
こんな憶測で考えていたらとんでもない勘違いをしてしまうことになります。
例えば無実の人を普段の行いだけから判断して悪いと判断してしまう。
その行いにどんな意図があったのか、踏み込んで考えないし、事実確認をしようとしない。
このことはとんでもない判断ミスにつながることになり、もし間違って退職に追いやると、会社にとっても大きな損失となる場合もあります。
事実無根の人に冤罪を着せて解雇した場合、会社が訴えられる可能性だってあります。
だから、絶対に憶測だけで人を判断してはいけない。
「憶測で仕事を進めてはいけない」という言葉は自分が仕事が出来ない時によく言われていたことですが、上司として人を評価する場合も同じことが言えますね。
上司として部下の長所を三つ言うためのコツ
上司の側に立ち、部下の長所を言えるようになるためにはいくつかコツがあります。
一つ目はまずそれぞれの部下としっかり向き合うことです。
部下一人一人の仕事をしっかり観察し、「こんな時にこんなことをやってくれる」というのをきちんと把握しておくことです。
ここをおろそかにすると部下はみな同じようなものだという誤った認識を持ち、不得意な仕事を割り当てて部下にストレスを抱えさせて退職させてしまったり、目に見える結果だけを見て特定の人をひいきにしてしまったりする。
結果として、他の人以上に努力をして頑張ろうとしている人のやる気の腰を折り、心の病を患わせたり退職させてしまったりする。
本来であれば優秀な人材になる可能性が高かったのに、そんな貴重な人を会社から追い出してしまう。
こんなことが起きるので、しっかりと部下に対しては一人一人と向き合わないといけません。
二つ目は部下を減点方式ではなく加点方式で見ることです。
部下は自分と同じくらいのレベルの仕事が出来て当然なんて決して思ってはいけません。
テストと同じように仕事も100点取って当たり前ではないのです。
減点方式で見ると短所はたくさん見えますが、本来長所として見るべきところも仕事をきちんと出来て当たり前と考えるので、評価することなく、長所として見えてくることがありません。
ミスは多いけど人柄が良くて工夫や提案が出来る人、ミスが少なく完璧に仕事をこなすけど人を蹴落としてでも上に行こうという人格に問題がある人。
減点方式で見ると後者がいい部下に見えてしまうものです。
前者はしっかり育てると会社のブレインとなり会社の中心で働けるようになる人となるのですが、きちんと見ないとあまりいい人材ではないように見えて、評価を低く付けてしまうことになります。
これでは能力の総合値が同じ場合でも評価が大きく乖離してしまい、上に立つべき人ではない人が上に立つことにもなってしまいます。
三つ目は部下と信頼関係を持つことです。
自分の管理する部下一人一人としっかり信頼関係を持つこと。
これは結構難しいのですが、いいことは褒め、良くないことは叱る。
褒めると叱るのバランスが悪いと、部下は上司のことを信用してくれません。
褒めるだけだと「この人は何でも褒めるんだ」と思われますし、叱るだけだと「この人は自分の仕事を評価してくれないし疲れる」となります。
ですので、長所と短所をしっかり把握していくためにも褒める、叱るをバランスよく行うこと。
そして、仕事以外のことも雑談として話して、それぞれの部下の趣味や好きなこと、嫌いなことに興味を持つことです。
そうすることで、部下としっかりとした信頼関係が築けるようになります。
信頼している人の長所だと、そうではない人の長所よりも見つけやすいはずです。
部下の長所をしっかりと理解し、三つ以上言えるようになると、その人は素晴らしい上司であるといえます。
たいていの上司は一つしか言えなかったり、ひどい時には一つも言えないこともあるわけです。
そして部下に対してこんなことを言う。
「君の長所は何なんだ?」
面接ではぜひ聞いておくべき質問ですが、実際に上司と部下の関係で仕事をしている関係で、上司が部下にこの質問を投げかけることはあり得ないですね。
上司と部下の関係が浅いうちはまだ許されるのですが、半年、1年、5年と経っているのにこの質問をしてくる上司に対しては、「あなたは今まで部下の何を見てきたの? 今まで何をしていたの?」と言いたくなります。
そして、こういう上司に限って部下が「〇〇が長所だと思います」と答えても、頭ごなしに否定してくるものです。
正直、半年以内で部下の長所を見つけられない上司は、上司としての仕事をしているとは言えず、上司として怠慢であると思います。
自分が部下であったら、こういう上司に付いていきたいと思いません。
なので、部下を持ったらその部下のことをよく観察し、長所を見つけてあげて長所をさらに伸ばすようなマネジメントをした方が良いでしょう。
そうすることで部下との信頼関係をしっかり築けますし、部下も最大限のパフォーマンスを出してくれるので褒めるべき長所が新しく見つかってくるのです。
部下の長所を三つ以上言える上司は部下からもかなり信頼されていることでしょう。
上司として部下をしっかり見ているわけですし、部下一人一人をしっかり見ているため、チームワークでも適材適所に仕事を割り当てて、それぞれの部下が最大限能力を発揮できる。
結果としてチーム全体の成績が良くなり、部下の成長も早くなる。
こういう指揮を取れる上司は会社からもかなり重宝されるでしょう。
ぜひこの記事を見ている人が上司の立場になった時は、部下の長所を三つ以上言える上司になることを目指してほしいと思います。
部下の長所を言える優秀な上司は部下からも尊敬の目で見られます。
逆に部下の短所しか言えない残念な上司は部下から軽蔑の目で見られます。
どちらを目指したらいいかは明らかではないでしょうか。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。