正社員なのに派遣として働く、そんな会社が世の中にはあります。
しかし、正社員型派遣の会社で働くことはお金と心を豊かにするという観点ではお勧めできません。
最近はリモートで勤務できる仕事もありますが、ほとんどが客先常駐の仕事であり、その仕事につくためには面談という名の選考を受けなければなりません。
会社に入るためにも面接をしたはずなのに、客先の人間に職務経歴を見られ、品定めをされたうえでOKをもらえないと仕事にありつけないのです。
これって冷静に考えると結構おかしいことなのですが、これが当たり前になってしまった人は何も感じないようです。
似たような記事を過去に書いているのですが、それ以外の観点でさらに書いてみたいと思います。
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目次
入社面接は1回で採用される確率は高いが入社してからが大変
正社員型派遣の会社は面接は1回が多く、経験や職歴があれば、それなりの受け答えをすれば内定をもらうことはそこまで難しくはありません。
しかし、入るのは簡単ですが、そこから案件に参加するためには客先面談と呼ばれる顔合わせという名の面接を受けなければなりません。
この面接は一般の会社の面接とは異なり、まずは客先が業務を説明し、それに関してこちらが質問する。
その後、こちらがアピールとなる経歴を話し、客先の方から質問が来るので答える。
そして最後に逆質問の時間が取られ、それで面談が終了する。
その後、営業と客先が何かを話されるため、技術者だけ先に退出する。
こんな流れとなっています。
しかも、1つの案件に参加するためにこのような面接が複数回にわたって行われることがある。
これって、就職活動の面接とあまり変わらないですね。
これが案件が変わるごとに行われるので、面接が嫌いな人にとってはかなりの負担になってしまうわけです。
案件に参加できたとしても期限ありの派遣社員としての勤務となり、ジョブホッパーみたいな経歴になりやすい

顔合わせという名の面接に合格して無事に働けたとしても、客先では「派遣社員」として働くことになり、客先の社員と明確に区別されます。
分かりやすいものであれば名札でしょうか?
名札のストラップの色が正社員と派遣社員で違うなんてことが結構あります。
酷い所になるとエレベーターを使わせなかったり、社員食堂を使わせなかったりする客先もあるようですが、自分が働いてきた中でそのような会社は幸いなことにありませんでした。
そして、派遣社員という立場は客先の会社の中でとても弱いものであり、客先の人員の調整弁としての役割しかありません。
なので、少しでも気に入らない所があれば途中で更新なしで派遣期間が終了したり、期間が満了するとどれだけ成果を残していてもそこで終了したりするということが起きてしまいます。
1つの客先で長く働くことが可能な場合もありますが、長期の案件だったとしても派遣は派遣です。
よほどの活躍をしない限りどれだけ働いても、客先の社員として雇われることはありません。
そのため、正社員型派遣の会社に長く居ると経験した派遣先が増えて、まるでジョブホッパーの職務経歴のようになってしまいます。
複数の会社で働くことでそれぞれスキルを身に付けていくことは一見よさそうですが、必ずしもそうとは言い切れない部分があります。
次章で説明します。
案件ごとに求められるスキルが変わるのでスキルアップの効率が悪い
正社員型派遣での仕事は案件をこなすことになります。
しかし、その案件は有期で必ずどこかで終わるため、次の案件をこなすことになると、また1から覚え直さないといけないことが結構あります。
特に厄介なのは客先となる会社独自のやり方やルールですね。
これがかなり厄介で、複数の企業文化に慣れる柔軟さが求められます。
会社により評価基準が違うので、一方の会社では勤怠が良くて優秀という評価をもらえても、片や一方では「勤怠が悪くてうちの会社にふさわしくない」との評価をもらうことがあります(それがそのまま査定に結びつき、こちらは悪くないのに賞与を一方的に下げられるということもあります)。
こうして1から企業文化やルールを覚えていくことになるのですが、これが本当に効率が悪い。
1社で働き続けるのであれば、その1社の企業文化やルールを覚えていけば人間関係を深めていくことが出来、自社の仕事に対して高い専門性を持たせることも出来ます。
しかし、期間が定められた派遣での働き方となれば、そのような専門性を身に付けるのにどうしても時間がかかってしまいます。
幅広いスキルは身に付きますが、そこから専門性を深めていくには自学による勉強が必須ですし、短期で深くシステムを理解することが難しい人には厳しい仕事になってしまいます。
そしてシステムを深く理解しても別の案件で通用するわけではない。
なので、折角覚えたことを捨ててしまう必要もあり、案件ごとに勤務先が変わるというのは本当に効率の悪い働き方になります。
勤務先の正社員として働くのであれば、深くシステムを理解することがその会社で働く上での糧となりますが、勤務先の派遣社員として働く場合はそうはなりません。
それに、正社員型派遣で雇用された会社での役職が上がっても、派遣先ではただの派遣社員として見られることになります。
役職がただの飾りになってしまうのです。
給料とスキルが見合っていない

正社員派遣の会社の社員にはとても優秀な人がいます。
どんな言語でも扱えるし、どんな開発環境にも適応できる。
しかし、給料はそこまで高くはありません。
それはなぜか?
上位から下位に流れてくる間に中抜きされるために一人当たりの売上が少なくなり、給料として支払える額に限度があるからです。
それで会社として成り立っていても、自社製品を売っていて儲かっている会社には及びません。
正社員型派遣は客先に合わせてまとまった休みを取れるというのがメリットですが、それでもそれに甘えて胡坐をかいてしまうと、後で潰しがきかなくなる可能性が高いです。
自社開発やプライム案件を取り扱う会社に転職できればもっといい待遇で雇ってもらえる可能性が高いので、その可能性に賭けてみましょう。
それに正社員型派遣では、普通の正社員と比べて責任が軽いです。
電話も取らなくていいし、自社の名刺を出して会社の看板を背負わなくてもいい。
顧客に納品したシステムについて叱咤激励を受けることもない。
派遣先の企業という傘に守られているのです。
なので、スキルと客先でうまくやっていけるだけのコミュニケーション力があればなんとかなる。
ただ、顧客と話をして折衝をしないで決められたことを工夫してやるだけなので、スキルは身に付くかもしれませんが、顧客と直接やり取りをする重い責任の仕事は任せてもらえないため、ただスキルがあるだけの頭でっかちの状態になりやすいです。
様々な客先に対応して何でも屋としていろんなことが出来ることは良いことかもしれませんが、それに見合った給料が期待できないとなると、正社員型派遣で働くメリットはあまりないのではないでしょうか?
正社員型派遣は客先の違法行為によって成り立っている

これが一番の問題ですね。
一般的に派遣での契約の場合、派遣先となる客先は面接による選考を行ってはいけません。
職務経歴書を見ることも履歴書を見ることもNGです。
ただし、顔合わせという形で打ち合わせや面談をすることは認められています。
それにもかかわらず、正社員型派遣では客先が職務経歴書を見ながらガッツリと面接を行い、選考も行う。
つまり、派遣先として案件に参画するほとんどの企業は法律を守っていないのです。
そして、一度OKになった内容を後でNGとして、案件の参画を取り消してくることもある。
これも下請法に抵触する内容であり、損害賠償金を客先に求めることも出来る案件です。
しかし、正社員型派遣を行っている会社は立場が弱くて泣き寝入りするしかなく、この会社で働いている社員も泣き寝入りするしかないのが現状です。
このように正社員型派遣というのは客先の違法な行為によって成り立っています。
これを何とも思わない人はもうすでに感覚が麻痺しているか、それともそれを知っていてあえて文句も言わずに働いているかのどちらかとなります。
正社員型派遣が誠実な人ほど居づらい職場はこのためでしょう。
なぜなら正社員型派遣の会社も客先もその誠実さを搾取しているのですから。
正社員型派遣で働いて痛みを感じる人は、痛みがあるうちに行動してまともな会社で働くことをお勧めします。
そうしないと、現代の人売りの業界に居続けて自分の一番大切な良心をなくしてしまい、ただ働き続けるだけの機械になってしまうことでしょう。
正社員型派遣で長く働いている人はパッと見るだけではそうは見えませんが、何か大切なものを失っているというのはよく観察すると見えてくるものなのです。
確かに技術に関するスキルは身に付きますが、自分の開発したシステムの手柄は客先に持って行かれますし、顧客の顔も見えない。
それでいて、派遣の契約の期間もあるので、派遣先を変わるたびにジョブホッパーみたいな働き方にもなる。
なるべくなら、この状況を早く断ち切った方がいいのです。
自分は現在正社員型派遣で働いていますが、正直この業界は不要であると思います(基本的なスキルを身に付けるには適していますが)。
だから、責任が増えてやるべき仕事は増えてもいいので自社開発やプライム案件に関われる会社に転職する準備を進めていて、自分が作ったものに誇りを持てる以前の自分を取り戻したいと考えて、行動をしているところです。
正社員型派遣で働くことによる洗脳は長く居ればいるほどかかりやすくなります。
正社員型派遣で働いていておかしいと気付いたら、出来るだけ早く抜け出すことをお勧めします。
正社員型派遣で働いていて転職を考えている方はDodaがおすすめです。

一般の転職求人サイトと転職エージェントを同時に使えるのが大きなメリットで、自分が転職活動をする際に大きな手助けとなりました。
転職サイトとして利用するだけではなく、転職エージェントも併用して活動していくことをお勧めします。
今回のお話は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。